熱中症、夏バテ、気象病…「酷暑の三重苦」予防法 日本の夏の暑さは、年々過酷さを増している
東洋経済オンライン / 2024年8月17日 16時0分
「日本の夏の暑さは、年々過酷さを増しています。毎年、ものすごい数の熱中症の患者さんが救急搬送されています」。毎年のように続く酷暑に、こう警鐘を鳴らすのは内科・総合診療医の橋本将吉氏。熱中症に夏バテ、気象病など、とりわけ高齢者にとっては生命の危機に直結するこうした「酷暑の三重苦」に対して、どう対処すればいいのかを橋本氏が解説します。
※本稿は、橋本氏の著書『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
「〇〇バテ」はエネルギー不足になっている可能性大
夏バテというのは昔からありましたが、今は春バテ、秋バテ、冬バテなんて言葉もあるぐらいですから、人間、年中バテていることになりますね。健康に生きていくのって本当に難しいですね。
理由はさまざまあるでしょうが、「バテる」というのは、いわば体がガス欠になっている、つまりエネルギー不足になっている可能性が考えられます。
エネルギーを補うには、糖質がてっとり早いですが、食べすぎは、当然体には良くありません。糖質をプラスして補うというよりは、食事でタンパク質をしっかり補うことが大切です。なかでも、低脂質・高タンパクな鶏のむね肉やもも肉などがおすすめです。
皮は脂質が多いのでできるだけ取り除いたほうがいいのですが、それだとなんとも味気ないもの。その物足りなさを補う工夫をご紹介しましょう。例えば、エゴマ油などの体に良いとされている油を足してコクを出すのも方法です。
えっ、油って同じ脂質なのに大丈夫なの?
なるほどのご指摘ですが、心配ご無用。一口に脂質と言ってもさまざまな種類があります。そして、体に良い油もあるんです。
体に良いとされているのがオメガ3脂肪酸です。エゴマ油もこれに分類されます。青魚などに含まれているDHAやEPAなどの脂もオメガ3脂肪酸。中性脂肪を下げる働きがあります。
一方、とりすぎに注意したいのが、飽和脂肪酸です。牛肉、豚肉などの肉類や乳製品に多く含まれている脂肪で、とりすぎると中性脂肪や悪玉コレステロールを増やす原因になります。
これでおわかりいただけたと思います。鶏皮などに含まれる飽和脂肪酸をとるよりは、オメガ3脂肪酸のエゴマ油を小さじ2分の1ほど回しかけて、コクを出すほうが健康的ということになるのです。
もっとも、すべての飽和脂肪酸が悪者というわけではありません。飽和脂肪酸は、構成する分子の鎖の長さによって、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸に分類されます。
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