「もしも家康が総理」で吉宗がボヤいた驚く一言 多方面に気遣い、暴れん坊将軍ではなかった?
東洋経済オンライン / 2024年8月17日 18時0分
日本を救うため、偉人オールスターズが現代に大復活した――。そんな奇想天外な映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」がこの夏に上映スタート。大きな話題となっている。映画では最強内閣の一人として、農林水産大臣の徳川吉宗も大活躍しているが、その実像について、偉人研究家の真山知幸氏に解説してもらった。(※本稿は真山氏の『なにかと人間くさい徳川将軍』から一部抜粋・再構成した)
意外性あるも実は「適材適所」な最強内閣
眞邊明人氏原作の、大ヒットとなったビジネス小説『もしも徳川家康が総理大臣になったら』が映画化されたので、中1の長女と映画館で鑑賞したところ、大変よくできた作品だと感心してしまった。歴史人物について学びながら、政治への問題意識も持つことができ、コメディ要素も満載だ。
【写真】映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」の場面カット
しっかりと偉人の実像に迫っている点においても、意義深い作品だと感じた。例えば、「生類憐みの令」で知られる5代将軍の徳川綱吉は、映画では厚生労働大臣として、内閣総理大臣をサポート。
「犬公方」と揶揄される綱吉がなぜ……と思うかもしれないが、綱吉は実際に、社会的弱者に寄り添った政策をいくつも実行している(参考記事「犬をデキ愛「徳川綱吉」令和にも通じる深い信念」)。
そして、劇場で思わず吹き出してしまったのが、映画では農林水産大臣となった8代将軍の徳川吉宗の「暴れてないのに……」というボヤキである。
吉宗は時代劇ドラマ「暴れん坊将軍」では主人公として人気を博していることもあって「しがらみにとらわれずに、改革を断行した庶民の味方」というイメージを持たれやすい。
だが、実際は多方面に忖度しており、「暴れん坊」どころか、かなり気を遣いながら政務を行っていた。というのも、吉宗は将軍になる経緯で、人間関係であちこちに貸しを作っており、自分勝手に振る舞うわけにはいかなかったのである。映画をより楽しむうえでも、吉宗の実像について解説しよう。
「暴れん坊」どころか多方面で気を配っていた
7代将軍の家継が8歳で危篤状態となると、徳川宗家(将軍家)の血統がとうとう途絶えてしまい、「次期将軍は誰にするのか」と騒がしくなってきた。
紀州の吉宗のほか、尾張から徳川継友、水戸から徳川綱条と、御三家の当主が集められ、老中、側用人らとともに一室にこもって、話し合いが行われている。
その結果、選ばれたのが吉宗だった。年齢は33歳で、すでに紀州藩主として12年間の治世を行った経験が買われた格好だが、実績が決定打となったわけではない。吉宗を将軍に選んでもらおうと、紀州藩の家臣たちによる裏工作が行われたといわれている。
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