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日本政府の「西欧偏重主義」に日本人は飽きている 長崎平和式典「イスラエル招待しない」から見える感情

東洋経済オンライン / 2024年8月17日 9時0分

和洋折衷ともいえるが、言い換えれば西欧でもなく、アジアでもない孤絶した世界を主張しているのだ。それが戦前の大東亜共栄圏という、空威張りであったともいえる。

大東亜共栄圏という発想は、西欧に対して説明できなかっただけでなく、アジアに対しても説明できなかった概念だったからだ。

マコーマックによると、日本と似ている問題を抱えているのはオーストラリアだという。人種、文化、経済すべてをイギリスに頼っていたオーストラリアが、イギリスの衰退とともに、1990年代アジアへと舵を切った。

日本以上に西欧文化に影響されたオーストラリアですら、時代的変化の中で、進路の変換を行おうとしているのである。しかし日本は、いまだにそのアイデンティティをどこにもつかめないでいるのだ。

「非西欧」の日本を主張できるか

長崎市の平和祈念式典は、奇しくも日本政府の立場と長崎市の立場が対立することになったのだが(岸田文雄首相の地元、広島市では政府の意向に合致していた)、この対立は日本国民が心の中にもっている、脱亜入欧の矛盾をも反映したものといってよい。

日本国民は西欧べったりの政治にはあきあきしているのだ。2020年代になって日本政府の西欧主義が度を超し始めた中、多くの国民はいきすぎた西欧化に危惧を感じ始めているといえる。

ガザの子供たちや女性たちの犠牲を思うとき、イスラエルを平和式典に招待できないというのは、よくわかる。この戦争に対する日本の立場は欧米とは違うのだ。

G7であろうとなかろうと、そのことははっきりと明言すべきなのだ。欧米に対して茶坊主のように奔走することを、国民は望んではいない。毅然たる態度で、非西欧人としての日本の立場を言明してほしいのである。

的場 昭弘:神奈川大学 名誉教授

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