トランプ陣営の攻撃犬になったベストセラー作家 「トランプ後継」バンス副大統領候補の素顔(上)
東洋経済オンライン / 2024年8月17日 11時0分
貧困白人労働者の生活を描き、ベストセラーとなった少年時代の回顧録『ヒルビリー・エレジー』。あれから8年。作者のJ.D.バンスは共和党の副大統領候補としていまやトランプ運動を引き継ぐ最右翼に躍り出た。彼の正体を上編、下編に分けて読み解いていく。
大統領選挙は終盤戦に入った。バイデン大統領の突然の撤退で、選挙情勢は急変した。7月の共和党全国大会でトランプ前大統領は正式に大統領候補として承認され、副大統領候補にオハイオ州選出のJ. D.バンス上院議員が指名された。共和党全国大会は共和党の団結を示し、大統領選挙での勝利を確信して終わった。
一方、撤退表明後、バイデン大統領が大統領候補に推挙したハリス副大統領は、インターネットによる代議員選挙で99%という圧倒的支持で、大統領候補の指名を獲得した。これは、8月19日から予定されている全国大会に先立って民主党が実施したものである。同時にハリス副大統領はミネソタ州のティム・ウォルツ知事を副大統領候補に指名した。
公開討論会にやる気満々のバンス
共和党「トランプとバンス」VS民主党「ハリスとウォルツ」の対決が決まった。9月10日に大統領候補による公開討論会が開催され、10月に3回目の公開討論会(日にちは未定)が行われる予定である。また副大統領候補による公開討論会は10月1日に行われる。バンスはウォルツに対して討論会を2度行うように提案している。かつて副大統領候補による2回目の公開討論会は行われたことはない。バンスはウォルツに対して極めて挑戦的な態度を取っている。
ハリスの支持率は上昇し、トランプは全国調査だけでなく、リードしていた激戦州でも、支持率を逆転される現象が起きている。トランプ陣営はハリスを攻めあぐねている。トランプ陣営では、感情的かつ思い付き発言の多いトランプに代わって、バンスに対する期待が高まっている。政治サイト『Axios』は「バンスは攻撃犬(attack dog)の役割を果たす」と指摘している。国境警備問題や移民問題、犯罪問題、インフレ問題などで具体的、論理的な攻撃をハリス陣営に仕掛ける役割である。
バンスにとって公開討論会は極めて重要である。トランプが選挙で勝利しても敗北しても、トランプが作り上げてきた「MAGA運動」を引き継ぐ能力が自分にあるかどうかが公開討論の場で試されることになるからだ。
トランプは共和党全国集会でバンスを大統領選挙の伴走である副大統領候補に選んだ。39歳と若いバンスは一躍「トランプ後」を担う後継者として注目された。2022年の中間選挙で上院議員に初選出されたバンスはまだ就任2年目の新人議員である。政治経験も浅く、政界での実績もない。
回顧録『ヒルビリー・エレジー』がベストセラーに
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