留学先で「パンに生えたきのこ」食べた彼女の結末 「薄暗い場所でものを食べてはいけない」と実感
東洋経済オンライン / 2024年8月18日 10時0分
「それは、まるで“えのき”のようでした」
出版社勤務の34歳の女性は、食中毒のニュースを聞くとかつて留学先で経験した“つらい”経験を思い出す。そのできごととは――。
交換留学で北欧・オスロへ
女性の名前を横山恵さん(仮名)としよう。
横山さんは、大学在学中の2012年夏から、交換留学のためにノルウェーのオスロに渡ることになった。留学期間は1年間。授業料は返済不要の奨学金でまかなわれ、寮費用・生活費も支給される。勉学に励んだ結果、つかんだチャンスだった。
オスロは静かで美しく、治安のいい街だった。学生寮はキッチン、バス・トイレが共同であるが、一人部屋でプライベート空間は保たれていた。
問題は、ノルウェーの物価の高さだった。社会福祉の充実を国策とし、高い消費税が課せられていて、あらゆるものが日本よりはるかに高い。
「当時の消費税は20%。500ミリリットルのコーラが500円しました。ノルウェーに来たからには『サーモン食べなきゃ』と思っていましたが、即、断念しました」と横山さん。
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さらに円安が追い打ちをかけた。留学がスタートした2012年8月のノルウェークローネ(NOK:ノック、以下、NOK)は「1NOK、11円台」、これが9月に「1NOK、18円台」になった。
生活費は円が安くなった9月に1年分をまとめて振り込まれた。生活費を1カ月約3万円でやりくりしなければならなくなった。
そんな横山さんを支えたのがパンだ。物価高のノルウェーだが、生活必需品は価格を抑えられており、パンもその1つだった。
楕円形で小麦の外皮や他の穀類の種子、ナッツ類が入ったパンは茶色く、硬く、ずっしりと重い。横山さんは30センチくらいの長さの、1斤10NOK(200円くらい)ほどの一番安いパンを購入して、お腹を満たしていた。
「スライスしたパンに、同じく手頃な値段で買えるチーズをはさんで食べていました。大学のお昼もパンを持参するので、1日3食ほぼ同じものでした」(横山さん)
パンは1週間に2斤を買い、少しずつ食べる。徹底した節約生活だ。留学生の多くは同じような食生活をしていたという。
半年後、その出来事は起こった
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