日本株「突然の大暴落」を引き起こした真犯人 株高を支えてきたメカニズムが崩壊した
東洋経済オンライン / 2024年8月18日 11時0分
2022年以降、円安の進行で企業利益が増加し、日本の株価上昇が顕著になった。2024年にはさらに顕著になったが、7月末から8月初めにかけて株価が大暴落した。これは、株高を支えてきた「異常円安メカニズム」が崩壊しつつあるからだ。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。野口悠紀雄氏による連載第127回。
円安で値上がりしてきた日本の株価
7月末から8月初めにかけて、日本の株価が大暴落した。日経平均で見ると、8月5日に3万1458円となり、7月11日の史上最高値4万2224円からの下落率は、約25%に達した。2024年初の株価3万3288円からの上昇分は吹き飛んだ。
その後も激しい値動きが続いており、今後を見通すことが困難だ。手がかりをつかむために必要なのは、これまでの株価上昇がいかなる原因で生じたかを解き明かすことだ。そして、そのメカニズムにどのような変化が起きたかを知ることだ。
2020年以降の日本の株価は、新型コロナ感染の広がりと収束、そして、為替レートによって大きく変動してきた。
この間の日経平均の推移は、つぎのとおりだ。コロナ前の2019年には、2万~2.3万円程度で推移していたが、コロナ禍で1.7万~1.8万円程度に下落した。その後回復し、2021~2022年には2.5万~2.7万円程度になった。そして、 2023年から値上がりが顕著になった。
企業の利益はどうか。製造業大企業(資本金10億円以上の企業)の経常利益の推移は、つぎのとおりだ。
経常利益はコロナ禍で落ち込み、その後回復した。2021年中には、ほぼコロナ前の水準を取り戻した。図表1に示すように2021年の対前年同期比がきわめて高い値になっているのは、このためだ。
ところが、図表1に見るように、2022年にも、各期の対前年同期比が20%を超えるという、高い伸びが続いた。これは、円安が進んだためと考えられる。
一方、2022年の初めに1ドル=115円程度であった円ドルレートは、2022年10月には150円近くになった。
円安と企業業績の関連性
ただし、円安→企業利益増→株価上昇という過程は、一直線に進んだわけではない。企業利益は2022年10月期に落ち込んだ。そして、下図に見るように、2022年から2023年にかけて伸び率が低下した。これは、為替介入が行われた結果、一時的に円高が進んだことの影響と考えられる。
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