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NTT西日本、「顧客情報流出」の先に待つ2つの難題 北村新社長「設備だけで稼ぐ会社から転換する」

東洋経済オンライン / 2024年8月19日 10時0分

――持ち株会社のNTTの島田明社長は7月に行ったインタビューで、北村社長を「オールマイティで危機のときにふさわしい」人物だと評していました。西のトップとして、どのような色を出していきたいですか。

事案(顧客情報不正流出問題)もあったので、今、西日本グループが最優先で取り組んでいかないといけないのはお客様の信頼回復だ。それと、経営的にいま非常に厳しい状況なので、来期以降に向けて事業成長をしていくこと。「信頼回復」と「事業成長」が重要な局面だ。

いわゆる危機管理的なベースのところはしっかりやるとして、やはり社員、人の力が非常に大事になる。それに対して(社員に)腹落ちしてもらいながら、前を向いてもらうよう訴えていく熱量やパッションは、私としてはそれなりにあるほうだと思う。

また、事業領域を大きく広げようとすると、物の考え方を柔軟にしていかないといけない部分がたくさんある。多様性を受容して新しいことにチャレンジし、柔軟な発想をうまく経営の中に取り入れていきたい。

物言える「組織風土」が必要

――信頼回復、ガバナンスの強化という意味では、再発防止に向けて、グループのセキュリティ人材を集めた「セキュリティ&トラスト部」が7月に始動しました。改めて見えてきた課題はありますか。

セキュリティ&トラスト部で、セキュリティに関しては「2線」(管理部門)の部分で専門部隊を作り、しっかり見ていく体制ができた。加えて、「1線」(事業部門など)、2線、3線(内部監査部門)で考えると、内部監査部(長)も役員ポストにした。持ち株会社からきた役員をヘッドに、私の手足となってしっかり動いてもらえるので、ここの体制も強化する。

「ガバナンス体制」という意味では確立できたと思うが、ガバナンスを徹底して効かせるには、組織風土から変えないといけない。前回の事案から見えた課題は、悪い情報でもしっかりと上げ、自分の意見を言える風通しのよい組織にしていくことだ。組織の壁も取り払いながらやっていくことが大事ではないかと思う。

――とはいえ巨大な組織だと、風土を変えるのは難しい部分もあるのでは。

一例でいえば、今「さん」づけ活動をやっていて、私に対しても「北村社長」ではなくて、「北村さん」と言うようにお願いしている。組織のコミュニケーションの壁を低くして、そういった(自分の思った)ことを言い合えるように、トップ自らが発信して実践していく。

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