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NTT西日本、「顧客情報流出」の先に待つ2つの難題 北村新社長「設備だけで稼ぐ会社から転換する」

東洋経済オンライン / 2024年8月19日 10時0分

個人の評価指標、目標設定シートでも、「他者貢献」を評価の仕組みに入れた。自分のところだけがよければいいのではなく、トータルで考えれば、(顧客が商品に出会ってから購入に至るまでの)カスタマージャーニーでは、川上から川下までの一連(の会社の取り組み)がお客様には見えている。

それを実現するうえで、いろんな組織をまたいで仕事をしていくわけだが、その“のりしろ”を補うかたちで他者貢献しながら全体最適を目指していこうとメッセージを出している。そんなことが出来上がると、もう少し風通しがよくなり、物を言いやすくなる文化が育ってくると思う。

“復活”に向けた5本柱

――もう1つの課題である「事業成長」について、今期の通期業績見通しは大幅減益予想となっています。来期以降に向け、どのような反転戦略を描いていきますか。

前期に不稼働資産の売却益があったことに加えて、今期は将来のコスト競争力強化の観点から、老朽化設備を整理し、DXを推進していく先行施策で予算を取った。将来の成長につなげる施策をやっていくことで、いったん非常に大きな減益となっている。だが、ここをボトムにして来期以降は利益成長をしていく。

取り組みの「5本柱」がある。光サービスの拡大、レガシー系サービスを光サービスに着実に移行していくこと、法人事業強化、新規事業の成長拡大、そしてCX(顧客体験)向上とコスト競争力強化だ。この5つをすべて同時にやらないと、力強い復活は厳しい。

――5本柱を実現するうえで、具体的にどのようなことがポイントになるのでしょうか。

光サービスの拡大でいうと、10Gbpsの「(フレッツ)光クロス」の販売が非常に好調だ。「クロスファースト」で、保守サポート系の付加サービスもセット販売し、ARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)を上げていく。レガシー系サービスは、サービス終了年度を公表しているメタル専用線などを新しいセキュアなネットワークサービスに移行していくことが当面ポイントだ。

法人事業では、ガバメントクラウド(編集部注・政府共通の行政向けクラウド基盤)が言われている中で、自治体や教育機関、大企業などの間でIT投資の波が2025~2027年にくる。そこに対して、利益率も非常に高いクラウドやマネージドサービスを強化する。そのために、コンサル営業から入ってそれを“型紙化”していく。

新事業は、電子書籍の「ソルマーレ」が順調に成長し、前々期から展開した北米も伸びている。これを成長させると同時に、第2、第3のソルマーレみたいな会社を作りたい。CXについては、お客様から申し込みをいただいてからの一連の業務プロセスにしっかりDX、AI(人工知能)をかませて、WEBベースでフロー化することによって、CX向上だけでなくコスト競争力も強化できる。

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