4年で半減の大苦境「ホンダ」中国事業の行き先 BEV新ブランド投入で立て直しは図れるか?
東洋経済オンライン / 2024年8月19日 11時0分
一方、7月に出荷台数1万台超の車種は、トヨタとフォルクスワーゲンがそれぞれ4車種、6車種であるのに対し、ホンダは1車種のみ。特にロングセラーであるCR-Vの販売台数が1万台割れとなったことから、ホンダの競争力が低下していると見受けられる。
出荷台数に占めるトップ2車種の割合を見ると、ホンダ38%、トヨタ28%、フォルクスワーゲン27%と、ホンダは割合が高い。
つまり、ホンダはアコードとCR-Vの2車種に依存しており、ほかの車種の競争力が低いということだ。さらにディーラーの値引き競争を受け、ホンダの兄弟車でカニバリゼーションを起こしている。2024年1~7月の販売台数をみてみよう。
CR-V(東風ホンダ)は「ブリーズ」(広汽ホンダ)の約2倍、アコード(広汽ホンダ)は「インスパイア」(東風ホンダ)の約3倍となっている。
地域ごとの消費者ニーズに対応するマーケット戦略の効果は薄くなっており、コストパフォーマンスの高い車種しか売れない状況だ。
2つ目の要因は、HEVの低迷だ。ホンダは2016年に独自の高効率ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を搭載したアコードを投入し、HEVを強化し始めた。2021年には、23.4万台のHEV販売台数を記録し、市場シェアは32%に。
しかし、2023年から、中国市場で熾烈な価格競争が繰り広げられるようになると、トヨタが多くのHEVを値下げし、市場シェアを維持。また、フォード、吉利汽車、東風汽車、広州汽車も相次いでHEVを投入し、競争力を高めている。
2024年7月の中国HEV市場のシェアを見ると、トヨタが77%であるのに対し、ホンダはわずか8%となっている。
HEVはエンジン車と比較して、低CO2排出や低燃費を実現するものの、熱効率を大幅に改善し、長距離走行を可能とした中国勢PHEV(プラグインハイブリッド)の増加により、そのパワートレーンの優位性をアピールするのが難しくなっている。
特にBYDが今年7月に発売した2025年型「宋PLUS DM-i」PHEV」の価格は13.58万元で、CR-V HEVより25%安い。BYD のPHEVを契機とした価格破壊と値下げ競争の激化は、外資系車種の競争力を脅かしており、特にホンダの主力車種に大きな影響を与えている。
BEVの新ブランドを続々と投入
3つ目は、BEV販売の不調だ。ホンダは、2018年に中国専用BEV「理念VE-1」(広汽ホンダの自主ブランド)を投入し、外資系メーカーの中で早い時期に電動化シフトを開始した。
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