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4年で半減の大苦境「ホンダ」中国事業の行き先 BEV新ブランド投入で立て直しは図れるか?

東洋経済オンライン / 2024年8月19日 11時0分

2019年には、「X-NV」(東風ホンダの自主ブランド)も投入した。これは「ヴェゼル」をベースとしたBEVだが、ブランドの認知度が広がらず、価格高もあって販売増につながらなかった。

かかるなか、ホンダは2022年に同社初のBEVブランド「e:N」を立ち上げ、専用工場の新設と、2030年以降に発売する新車をすべて電動車両にするという大胆なBEV戦略を発表した。

しかし、e:Nシリーズの販売台数は、2024年1~6月で8000台弱となり、ホンダの中国販売に占める割合は2%にとどまる。価格競争力が弱く、SDV(ソフト定義クルマ)化を含む走行性能や乗車体験でも、テスラや中国勢に太刀打ちできないことが、ホンダの電動車の課題だ。

ホンダは、こうした課題を意識し、エンジン車の生産能力を減らす一方、1700人規模の希望退職者の募集を実施して、コスト削減を図っている。

また、パートナーの東風汽車の協力を受け、現地採用のエンジニアによるBEV新ブランド「霊悉(リンシー)」を立ち上げ、「e:NS1」などの電動車をヨーロッパへ輸出する取り組みを始めた。

2025年に投入するBEVの新ブランド「烨(イエ)シリーズ」には、ファーウェイの車載ディスプレーや科大訊飛(iFLYTEK)の音声認識技術を採用する予定だ。

いまホンダに「足りないもの」は何か?

こうした生産能力の適正化、固定費の削減、新型BEVモデルの投入を通じて、ホンダは厳しい中国事業を打開しようとしている。

マルチパスウェイ戦略をとるトヨタに対し、急進的な電動化計画を推進するホンダは、機能・乗車体験・コスパを含むBEVの競争力を構築し、ホンダにしか作れないBEVブランドの価値を構築する必要がある。

車種を増やすだけでなく、車両の設計・生産・販売からアフターサービスまでの大転換を含む、電動化戦略の方向性の見極めが求められるだろう。

今後ホンダは、日産と共同でSDV技術の開発に取り組み、BEVで巻き返しを図る一方、中国事業の基盤となるエンジン車の販売減を食い止め、既存のエンジン車のファンをキープすることに注力ことも必須だ。

中国新車市場でPHEVの好調やBEV減速の気配が漂う中、ホンダの中国事業の立て直しの行方はますます注目される。

湯 進:みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、中央大学兼任教員、上海工程技術大学客員教授

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