「0.1%」は高すぎた?預金金利めぐる銀行の誤算 貸出金利の引き上げ困難なら収益に下押し圧力
東洋経済オンライン / 2024年8月19日 8時30分
どちらに軍配が上がったかは言をまたない。7月31日に日銀が追加利上げに踏み切ると、メガバンクはそろって預金金利を0.1%に引き上げた。0.08%と見込んでいた東日本の地銀関係者は「われわれだけ0.08%に抑えて、悪目立ちはしたくない」と吐露。この地銀はほどなくして、0.1%への引き上げを表明した。
結局、0.15%の利上げに対して預金金利が0.08%上昇したため、追随率は53%となった。今後、日銀がさらなる利上げに踏み切った際には、預金金利の引き上げ幅をめぐる思惑が再び交錯しそうだ。
兆円単位の預金を抱える銀行にとって、わずか0.02%の差でも数億円の利払い増加につながる。経営を揺るがすほどではないものの、中小金融機関にとっては無視できない負担だ。預金金利の上昇分を今後、貸出金利に転嫁できるかが重要になる。
預金金利同様、貸出金利にも追随率の概念がある。日本総合研究所の大嶋秀雄主任研究員の調査によれば、2006年から2007年にかけての利上げ局面において、政策金利に対する貸出金利の追随率は都市銀行で7割、地方銀行で4割、信用金庫では3割程度だった。
今後の収益力に差が出る貸出形態
各行の貸出金ポートフォリオによって追随率はまちまちだが、市場連動型の貸し出しが多いメガバンクはすぐに利上げの恩恵にあずかれる一方、固定金利型の割合が大きい地域金融機関は金利更改や満期到来のタイミングを待たざるをえない。貸出金利の引き上げにてこずるほど、預金金利の利払い膨張で収益が下押しされる。
前回の利上げ局面と異なるのは、金利ある世界を経験していない銀行員や取引先が増えていることだ。銀行・企業ともに、低金利を前提とする経営が長らく続いてきた。貸出金利の引き上げ交渉には、難航も予想される。
一井 純:東洋経済 記者
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【1月の住宅ローン金利ランキング】金利上昇リスク対策前提で、引き続き変動金利の利用が有利
マイナビニュース / 2025年1月14日 10時12分
-
薄利の住宅ローン、主戦場の〝変動型〟巡り我慢比べ続く 「業界の盟主」が攻めの一手、やまぬ恨み節
47NEWS / 2025年1月13日 9時30分
-
銀行が恐れる日銀「預金準備率引き上げ」の現実味 銀行の「棚ぼた利益」に対する国民の不満も
東洋経済オンライン / 2025年1月5日 7時40分
-
地銀40行、個人預金残高が減少 9月末、日銀利上げで競争激化
共同通信 / 2024年12月29日 17時9分
-
金利上昇で定期預金の人気が復活!人気FPが教えるお得な投資法「1年物を“つないで”金利のピーク圏を狙え」
日刊SPA! / 2024年12月25日 8時47分
ランキング
-
11時間半の山越えバスが“タダ”!? 岐阜山間部の2大都市を結ぶ無料シャトルバス運行
乗りものニュース / 2025年1月15日 14時12分
-
2裏切られた気持ちでいっぱいです…月収25万円・65歳サラリーマン、毎年「ねんきん定期便」を必ずチェック、年金月19万円のはずが「初めての年金振込日」に知った衝撃事実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 8時15分
-
3悪質なデータ復旧事業者「レスキュー商法」の手口 多発する「納得できない作業結果と費用請求」
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分
-
4松屋が「本気のガチ中華」で投入した商品の"正体" 「中華一番」の作者も唸る「水煮牛肉」の実力
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時40分
-
5理想の体形や収入がいつまでも手に入らない理由 強い願いも「無意識」に打ち負かされてしまう
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください