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アイデア出しに「9つの不満」を探すのがいい理由 不満は会議室ではなく「現場」で起きている

東洋経済オンライン / 2024年8月20日 11時30分

部屋を見回しても、通勤途中の街を見回しても、「不」を解決したアイデアで溢れていることがわかるだろう。「不」というメガネをかけて街を見ると、不とビジネスの関係がいかに深いかに驚くと思うし、そんな視点で今の自分の仕事をチェックするだけでも、違う風景が見えてくるはずだ。

ある飲料メーカーにこの話をしたところ、早速やってみようということになり、チームでコンビニに出向き、飲料の棚を見ながらいろんな「不」を洗い出してみた。

すると、たった10分ぐらいで出るわ出るわ……コロナ禍だったこともあり、取っ手が不潔とか商品が少ないなどの不便から、文字が小さいから見にくい、冷蔵の棚が曇るなどの不満までさまざま。一番多いのは、欲しい商品がない、容量が大きくて重すぎるなどの機能面の不満だった。

その後チームで街を歩き、飲む場所への不便や自販機への不満を集め、さらに大きな社会の不満も拾い集め、それらを不満ビンゴ(図参照)の9つの枠で整理した。

机上で考えず、現場で不満を拾うことから始める。僕たちはこの「不満のフィールドワーク」を通じてまさに「不満は現場で起こってるんだ」と実感し、これこそがリアルに求められている開発だと認識した。

「不満」を言うときは「アイデア」をセットで

さて、ここまで話しても、不満をベースに開発するのに抵抗がある企業や人がいるのも事実。前述のように、日本は「不満」を毛嫌いする文化があり、不満を言う人を避ける傾向がある。

社外取締役をやっている友人が「世の中の不満や社内の不備をまっ先に指摘する役割なのに、それを言うと煙たがられてしまう」と嘆くほどだから、社員が「不満」を言うなどご法度な空気なわけである。

だが、不満は大切な未来の種なのだから言うほうがいい。そこでおすすめなのは「不満を言ったら同時にアイデアを言う」こと。セットにすると、意外なほど議論が前向きになりビジネスのファインディングス(気づき)も生まれやすくなる。

さらにみんな「ここが問題だけどこうすればいい」という解決話が好きだから「あの人は面白い話をする」と言われるようにもなる。これは嬉しい副産物だ。

実は中学生向けの「アイデア講座」で、「不満+アイデア」で話すようにすすめたら、みんながとても笑顔になりクリエイティブになったこともある。まさに教育にも応用できる思考ツールなのだ。

「不満+アイデア」のセットで話せば、ビジネスは加速し、「面白い人」と呼ばれる。

小西 利行:POOL inc.Founder、コピーライター、クリエイティブ・ディレクター

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