訪日客が「ドン・キホーテ」に必ず足を運ぶ理由 最新決算に驚愕!DQNの店から「みんなの店」に
東洋経済オンライン / 2024年8月20日 9時0分
話をドン・キホーテに戻すと、そのDQN的な場所から、国民的小売店の立場に昇華した。それは一つのジャパニーズ・ドリームといってもいい。
ドン・キホーテの躍進
ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは決算を報告した。驚愕する内容だった。なんと売上高は約2兆1000億円だった。
この数字の凄さがわかるだろうか。私が同社の異常さ(説明するのも野暮だが、もちろんほめている)に注目して取材や記事を書いたりテレビ番組で取り上げたりしてもらったりしたときは、10年前に売上高が1兆円になったのだが「こんな異端な小売業が1兆円を超え続けるはずはない」といわれた。
そこから幾星霜。というかたった10年しか経っていない。
その10年で1兆円どころか2倍の2兆円に達した。つい先日に発表された決算資料を見てみよう。以下は2024年6月期の決算による。
・売上高:2兆950億円(前年比8.2%増)
・営業利益:1402億円(前年比33.2%増)
という好業績だった。35期の連続で増収増益となった。異端だったはずのドン・キホーテだが、上場企業のなかで最高の業績だ。これほどの記録は日本の上場企業のなかでも、ニトリなど一部の企業しか例がない。
そして、この売上高を実現した理由としてインバウンドに注目したい。というのも、同社はずっと海外での地道な宣伝を実施し、外国の居住者に、日本の訪問時にドン・キホーテに来店するよう多額のマーケティング費用をかけてきたのは有名だ。そして実際に多くのインバウンド客がドン・キホーテに来店している。読者もドン・キホーテに来店すると大量のインバウンド客と出会う経験をしているはずだ。
2024年6月期の決算短信によれば「免税売上は大きく伸長しております」と控えめな表現にとどまっているものの、決算概況によると、インバウンドの免税売上高は1173億円にも至っているようだ。
これは売上高の約2兆円と比べると支配的な比率ではない。しかし5%以上を占めており、きわめて大きな金額といえる。
その比率を獲得した勝因として同社は「競合に対する価格力」「品揃え」「深夜営業」「変化対応力」をあげている。私は「変化対応力」で追記したいのはレジの強さだ。同社は免税の対応速度を上げ1分短縮するなどの試みをしている。これは無視できない。かなり多くの外国人消費者をこなしているのだ。
なおドン・キホーテの強さを補足しておく。日本全体の訪日外国人数の増加比率よりも、ドン・キホーテの免税売上高増加比率のほうが大きい。これは称賛に値するはずだ。また、円高になっても円換算した売上高が高い。その実績は高く評価されていい。
ドン・キホーテの強さ
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