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相対性理論なら「人が100倍長生きできる」しくみ 電車の実験で検証、車内と外で時が変わるワケ

東洋経済オンライン / 2024年8月21日 18時0分

時間は絶対的なものではなく、見る人の立場によって伸びたり縮んだりするものです(イラスト:freehand/PIXTA)

「重力はなぜ存在するのか?」という問いは、物理学の歴史の中で極めて重要な役割を果たしてきました。数多の物理学者がこの謎に挑み、自然界の基本的な法則や宇宙の構造を解明していったのです。

カルフォルニア大学バークレー校教授で、素粒子物理学や宇宙論を専門とする野村泰紀さんも、そうした謎に挑む1人です。本稿では、野村さんの最新刊『なぜ重力は存在するのか』からの抜粋で、「アインシュタインが導き出した相対性理論の真髄」を紹介していきます。

「時間」は見る人によって違う?

「20世紀最大の理論物理学者」と称されるアインシュタインは「時間」についてのある重要な結論を導き出しています。それは「時間の進み方は、見る人によって違う」、より正確には「時間の進み方は対象を記述するのに用いる慣性系によって異なる」というものです。

【イラストで解説】「実験」動いている電車の車両の真ん中から前と後に向かって同時に光を発射。これを外から見たらどうなる?

彼は、頭の中で実験を繰り返すことで理論を構築していく方法をよくとっていました。このような実験を「思考実験」といいます。特に光の速度など、実際の実験による観測が難しい場合には、思考実験が威力を発揮します。

アインシュタインにならって、次のような思考実験をしてみましょう。

あなたは、一定の速度で走る電車に乗っているとします。そして、電車の床から真上に向けて光を発し、それを天井で反射させて、元の位置でまた計測する実験をしたとします。このとき、光の発射から計測までの間に、どれだけ時間がかかるかを考えてみましょう。

計算を簡単にするために、光の速度(光速)が秒速4メートルだったとして、高さが2メートルの電車でこの実験をしたとしましょう。

すると、光は床から天井までの往復で4メートル進んだわけですから、かかった時間は1秒だということになります。ここには何の不思議もありません。

電車の中と外で変わる「光の軌跡」

一方で、この実験を地上にいる人が静止した状態で見ているとします。その人から見た光の軌跡は、電車が動いていることを反映して、完全に垂直方向ではありません。

具体的には、床から発射された光は、はじめに電車の進行方向へ斜め上に向かって進んでいき、天井で反射されたあとは、電車の進行方向の斜め下に向かって進んで、最終的に床で計測されるという軌跡をとるはずです。

つまり、光が発射されてから計測されるまでに進んだ距離は、電車の高さの2倍である4メートルよりも長いということになります。

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