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中国の不動産市場「負の三重スパイラル」の呪縛 「かつての不況とは異質」とエコノミストが直言

東洋経済オンライン / 2024年8月21日 19時0分

不動産市況の悪化は、中国経済全体の回復の足を引っ張っている。写真は経営危機に陥っている不動産大手、恒大集団の開発物件(同社ウェブサイトより)

「中国で新型コロナウイルスの防疫対策が緩和されてから1年以上が過ぎたが、中国経済の回復は期待された水準に達していない。その最大の原因は、不動産市況の悪化に歯止めをかけられていないことだ」

【写真】経営危機に陥っている中国の不動産大手、碧桂園控股が分譲したマンション群

野村グループの中国担当首席エコノミストを務める陸挺氏は7月27日、広東省深圳で開催された経済フォーラムでそんな見解を示した。

陸氏が指摘するように、中国の不動産市場の現状は惨憺たるものだ。国家統計局のデータによれば、2024年上半期(1~6月)の中国全土の新築住宅販売面積は4億7900万平方メートルと前年同期比19%減少した。

値下がりが値下がり呼ぶ

上半期の新築住宅販売総額は4兆7100億元(約99兆8638億円)と前年同期比25%落ち込み、販売面積の減少率を上回った。これは単位面積当たりの住宅価格の下落を反映している。市場の先行きを占う新規住宅着工面積は、上半期は3億8000万平方メートルと前年同期比23.7%縮小した。

「これらのデータは、今回の不動産不況のパターンがかつての不況とはまったく異なることを物語っている。中国の不動産業界は目下、3つの『負のスパイラル』に同時に直面している」(陸氏)

陸氏の解説によれば、第1の負のスパイラルは住宅の価格と販売量の間で生じている。過去3年間、中国の多くの都市で住宅価格が下落したにもかかわらず、それが(かつての不況時とは異なり)消費者の住宅購入意欲の高まりにつながっていない。むしろ、値下がりがさらなる値下がりを呼ぶ悪循環に陥っている。

第2の負のスパイラルは、いわゆる「保交房」(訳注:不動産デベロッパーが消費者に予約販売した住宅物件の完成・引き渡しを確実に履行させること)の過程で生じている。

資金繰りが悪化しているデベロッパーに「保交房」の徹底を求める(政府や消費者からの)圧力は、以前は地方都市に集中しており、大都市ではそれほど深刻な問題ではなかった。ところが、今では(保交房を最優先したための)新築住宅の品質低下の問題が大都市にも波及し、消費者の購買意欲に悪影響を与えている。

第3の負のスパイラルは、住宅販売の縮小がさらなる縮小に連鎖する悪循環だ。デベロッパーは売り上げの減少で新たな開発用地を仕入れる余裕がなくなり、地方政府は土地の払い下げに依存した財政収入が激減。巡り巡って不動産市場全体の収縮を引き起こしている。

中央政府が財政支援を

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