赤坂真理さん独白「本当に欲しいのは幸せだった」 「生きづらさを緩和しようと」して求めたもの
東洋経済オンライン / 2024年8月22日 17時0分
「シリーズ ケアをひらく」は、第73回毎日出版文化省を受賞した医学書院のレーベル。2000年のスタート以来、医療関係者以外の幅広い読者に購読されています。
そのシリーズ最新作、作家の赤坂真理さん著『安全に狂う方法 アディクションから掴みとったこと』より一部抜粋・編集してご紹介します。
やってきて吸い寄せられる
I am addicted to alcohol.
これは英語の典型的な文章であるが、これを「わたしはアルコール(お酒)に依存している」と訳すことは、わたしにはできない。自分に好みはたくさんあるはずだが、ある好みにおいてだけコントロールが効かないということなのだ。“それ”のことばかり考え、何を対価に差し出してもそれを欲しいと思ってしまうこと。“それ”に吸い寄せられるようになってしまうこと。
お酒でも、薬物でも、恋愛でも、特定の人物でも、宗教教義でも、教祖でも、特定のホストやアイドルやYouTuberなどの推しでも。
be addicted に似た意味合いの英語は、I(わたし)から見るなら、すべて受け身だ。
be obsessed(取り憑かれる)
be possessed(乗っ取られる。直訳では「所有される」)
言葉の遊びをしているわけではない。大事なことなのだ。言葉は人の意識をつくり、その集まりが、集合意識をつくる。その意識にのっとって治療法というものも発想される。だとしたら、言葉をきちんと理解しなければ、本質から外れた治療法が主流となっていくこともありうるのだ。本質から外れた対応をしても、いつまでも本質はその人の中で放置される。
依存症は、それを認めたときに初めて快方に向かうと言われる。だとするなら、自分の納得できる言葉で自分を提示したいではないか。
当事者の実感がにじんだ言葉=「固着」
「生活に支障をきたしてもなお、あるものから離れられないこと」。これをなんと言うか。
説明しようとしたら、この文章のように和漢混淆の文で言うしかない。そうすることを日本語のオフィシャルな用語はひどく嫌う。和語というのは、漢語の補足説明のような位置付けになる。これは日本語の長い歴史においてできた言語特性であり、そうである以上、日本人の意識特性をどこかで縛っているメンタリティだろう。
たしかに、誰もが共通に運用できるには統一された簡潔な言葉であることが望ましいが、当事者がそれに合わせさせられるとしたら、本末転倒ではないか。当事者には当事者の実感があり、本来はそれが聞かれてから、それに合わせて治療法というものが発想されるべきだ。けれど実際は治療法や治療者に、当事者のほうが話を寄せていくという事態が起こりやすい。
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