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超リアル「シミュレーター界隈」最新技術と活用法 クルマ開発で求められる「再現性」と見える化

東洋経済オンライン / 2024年8月22日 15時0分

いま自動車開発の現場で「シミュレーター」の存在が欠かせなくなっている(筆者撮影)

「ドライビングシミュレーター」と聞いて、あなたはどんなマシンを想像するだろうか?

【写真】いま、自動車開発の現場で「シミュレーター」が欠かせなくなっている

最近はeスポーツがはやっていることもあり、F1やGTマシンなどを想定した、通信対戦型のドライビングシミュレーターをイベントなどで見かけることがある。

また、レーシングドライバーの育成用や、現役ドライバーが参戦するコースの雰囲気を確認するために用いる、より高度な仕様も存在。さらに、自動車メーカーや自動車部品メーカーが、量産車を開発するために活用するドライビングシミュレーターもある。

特に近年は、自動車産業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、欧米や中国で、量産車開発向けドライビングシミュレーターの導入事例が増えているという。

だが、この領域ではメーカー各社の企業機密に関る案件が多いことから、具体的な活用事例がメディアで紹介されることはまれだ。

そうした中、筆者は自動車メーカー各社との連携を進める独立系エンジニアリングベンチャーの、最新型ドライビングシミュレーターを体験する機会を得た。群馬県太田市内にある、S&VL株式会社(本社:東京都江東区)の技術研究所でのことだ。

高さ10mの巨大なシミュレーター

S&VLは、ベンチャーといっても社長の村松英行氏を筆頭に、大手自動車メーカーで量産車設計・開発の最前線にいたベテランが主体という、即戦力型の企業である。

体験したシミュレーターは、システムをドイツのVI-gradeが、ハードウェアを自動車部品製造や各種試験機の開発で知られる日本の鷺宮製作所が開発し、さらにS&VLが自社ノウハウを生かしたセッティングを施して仕上げられたものだ。

特徴のひとつが、車線変更における横加速度(G)をよりリアルに再現できることである。

シミュレーターの実物を見ると、相当に大きなもので驚いた。作動する空間の大きさは、縦15m×横15m×高さ10mもある。

そこに、水平方向に移動するための3つの作動軸、さらにその中心に6つの作動軸があり、その上にドライバーが乗車する車体があるという形状だ。

キモは、水平方向への「移動量が大きいこと」と、ドライバーの操作に対するシミュレーターの「応答性の高さ」にある。

つまり、クルマのレスポンスが速いことで、Gがうまく立ち上がるのだ。

今回、試した走行シナリオは、アメリカ西海岸のフリーウェイ。片側4車線あり、このうち中間の2車線を時速100キロ程度で走行しながら、何度か車線変更するというものだ。

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