「パレスチナ問題」こんなにも複雑になったなぜ 人気世界史講師が今さら聞けない常識を解説
東洋経済オンライン / 2024年8月23日 17時0分
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、収束が見えないガザ情勢、ポピュリズムの台頭、忘れられた危機を生きる難民……テレビや新聞、インターネットのニュースでよく見聞きする、緊迫した世界情勢。「論点」をちゃんと答えられますか?
「受験世界史に荒巻あり!」といわれる東進世界史科トップオブトップ講師が、キナ臭さが漂う今だからこそ学ぶべき「世界の大問題」を厳選して解説。今回は「日本人が知らないパレスチナ・イスラエル問題」。
世界で最も解決が困難な問題
常に中東問題の中心であり続けるパレスチナ問題は、「世界で最も解決が困難な問題(The world's most intractable conflict)」と呼ばれており、背景説明だけで本1冊が書けるほどです。なるべく簡潔に説明をしていきます。
まずパレスチナ地方の場所をおさえてください。ここにはアラビア語を話すイスラーム教徒が多く住んでいます。彼らがパレスチナ人です。この地にヨーロッパからユダヤ教徒(ユダヤ人)が入植してくる過程を見ていきます。
19世紀末はヨーロッパの各地で反ユダヤ主義(アンチ=セミティズム)が流行した時代でした。ヨーロッパの各国でナショナリズムが高まりを見せ、国民統合のためにユダヤ人を国内の敵と見る風潮が広がっていたのです。
ユダヤ人というだけでスパイ容疑を受け、のちに冤罪とされたドレフュス事件がフランスで起きたのもこの時代です。ユダヤ人はこの迫害から逃れるためにユダヤ人国家の建設を考えます。これがシオニズム運動です。
ユダヤ人国家をどこに建設するかはいろいろ候補地があったのですが、パレスチナにユダヤ人国家を建設すると決めたのが1905年のことでした。このパレスチナにユダヤ人国家を建設するという動きを後押ししたのが、第1次世界大戦中の1917年にイギリスが発表したバルフォア宣言です。用意周到に明言を避けてはいますが、ユダヤ人国家建設を支援すると思われても当然な内容の文書です。
1930年代からパレスチナへの入植が盛んに
第1次世界大戦が終わると、パレスチナはイギリスの委任統治領となります。1930年代になってドイツにナチス政権が成立し、ユダヤ人への迫害が強まると、パレスチナへのユダヤ人の入植が盛んになります。
パレスチナは委任統治A地域(※)なので独立が決まったも同然です。ただ、その独立国家が現地に住む多数派のパレスチナ人主導のものになるのか、それとも入植してくるユダヤ人主導によるかはわかりませんでした。
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