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自給率100%のコメが品薄になった不都合な真実 価格は6月に急騰、来年にかけて高値は続くか?

東洋経済オンライン / 2024年8月23日 10時0分

7月下旬、東京都内のスーパーのコメ売り場に掲示された購入制限を知らせる張り紙(写真:時事)

この夏、コメの品薄が続いている。価格は急騰し、地域によってはコメの購入制限を呼びかけるスーパーもある。

【グラフを見る】急騰したコメ価格の推移

だが、ちょっと待ってほしい。農林水産省はこれまで「コメの自給率はほぼ100%」とアピールし続けてきた。それが一転、なぜこんな事態になってしまったのか。「令和の米騒動」の現状を検証する。

半径3キロ圏内のスーパーで販売状況はまちまち

8月上旬、今や有数の米どころとなった北海道を訪れると、スーパーやドラッグストアには、「ゆめぴりか」や「ななつぼし」、「ふっくりんこ」などの地元のコメが棚にごく普通に並んでいた。メディアで伝えられている品不足が嘘のようだ。

8月中旬に東京に戻り、自宅周辺のスーパーを数軒のぞいてみると、状況はまちまちだった。

格安系の大手スーパーは在庫ゼロ、首都圏中心に展開する中堅スーパーは5キロは売り切れで、2キロの商品があるのみ。1人につき2点の制限もあった。

一方、商社系の大手スーパーも在庫切れ。店員さんに状況を聞くと「昨日は福岡のコメが入ったのですが、すぐに売れてしまいました。今後は未定です」とのこと。そして最後に回った生協は通常通りの販売だった。

半径3キロエリアの圏内にあるスーパーで、これだけ状況が違うのだから、どこで購入すればお得か、調べてみるのもいいだろう。

こうした違いについて、流通関係者に聞くと、「ほとんどが年間契約ですが、在庫が厳しくなるとスポットで手当てをします。そうなると平時の取引状況が影響してきます。卸の言い分を聞いてあげているところ、融通を利かせているところはほぼ通常通りの取り引きができていますが、日頃、厳しい条件を突き付けているところは、品薄になると優先度が後回しにされてしまいます」と解説してくれた。

それにしても、今回の「米騒動」はなぜ起きたのか。この春から多くの米穀店が仕入れに苦労するような状況になっていたが、異変が顕著になったのは7月中旬だ。

農林水産省が発表した6月のコメの「相対取引価格」において、2023年産米の全銘柄平均は玄米60キログラム当たり1万5865円の高値をつけたのだ。

2012年産米が1万6127円をつけた2013年8月以来、約11年ぶりの高値水準となった。ちなみに2022年産米(2023年7月)は1万3840円だった。今年は昨年同時期に比べ11.3%の上昇となっている。

この状況は7月に入っても継続している。7月の全銘柄平均は1万5626円と前月よりわずかに下がっただけで、相変わらずの高値水準にある。

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