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「原価1000円超」独自進化した"天然"かき氷の凄み 天然氷は日光から仕入れ、1杯手回し132回のこだわり

東洋経済オンライン / 2024年8月24日 8時0分

1杯につき手回し132回。平均客単価は約1800円、客のほとんどが日本人だという(筆者撮影)

酷暑の2024年夏。天然の氷を使った、こだわりかき氷店が人気だ。

【写真を見る】カットメロンがのった人気メニュー「生メロン三昧」

東京都内で店が増えたのは2010年代からで、一過性のブームに終わらず消費者に支持されている。近年は価格も上がった。天然氷や果物といった原材料費や人件費の高騰で、店によっては1杯1500円以上、2000円を超えるメニューもある。それでも繁盛店には客が押し寄せる。なぜ支持されるのか。人気の裏側をリポートした。

【写真】「ひみつ堂」の天然かき氷は、元歌舞伎役者の店主が13年かけて進化させてきた(5枚)

夏は1日平均1000人、平均客単価は約1800円

東京都台東区にある「ひみつ堂」は屈指の人気店だ。2011年5月、“谷中ぎんざ”の横にある現在地で開業、隣接する店と合わせて営業する。メディア取材も多く、体験者がSNSに投稿する店として知られている。

8月のお盆明けに同店に足を運んだ。前日までの大混雑は一段落していたが、それでも10人程度の行列となっていた。

「夏の間はずっとこんな感じです。並ばれる人数は増減しますが、8時から19時までの営業時間中はつねにお客さんが絶えません」

「ひみつ堂」店主でオーナーの森西浩二氏はこう話す。実は別室で仕込みをしながら取材に応じてもらった。夜の需要に備えて商品を切らさないためだという。

「この時季は1日平均1000人の方が来店されます。当店はこだわりフルーツを提供しており原価率も高いですが、客単価は平均1800円。2000円を超えるメニューもあり、値段が高いものから売り切れる傾向にあります」(森西店主)

仕込み部屋にはフルーツの箱が並ぶ。この日は「つがりあんメロン」(津軽で生まれ育ったメロンの総称)や「キーツマンゴー」(沖縄宮古島産)などが次々に剥かれていた。

「栃木県日光の天然氷と並ぶ主役たちです。夏のメロンは産地を厳選して自家追熟したものを使い、宮古島では農園の一角に自分たちが植えたマンゴーの木もあります」(森西店主)

店主は元歌舞伎役者の異色の経歴

同店は東京における天然氷のかき氷店の先駆けだ。13年前の開業時、同種の店は地方にはあったが、都内にはなかったという。

森西店主の経歴も異色だ。20代の頃は三代目市川猿之助(当時)に弟子入りして約8年間歌舞伎役者として活動した。それ以外にイタリア料理店店長や西表島でスキューバダイビングインストラクター、トラックドライバーなど20以上の職種を経て起業。「料理が好きだったのと、歌舞伎で学んだお客さんに楽しんでいただく思いから」かき氷を選んだ。

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