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「原価1000円超」独自進化した"天然"かき氷の凄み 天然氷は日光から仕入れ、1杯手回し132回のこだわり

東洋経済オンライン / 2024年8月24日 8時0分

人気店となった後に一段と脚光を浴びたのは、2013年3月にテレビ東京系の経済番組WBS(ワールドビジネスサテライト)が「THE行列 年中いつでもかき氷」と放送してから。

ただ放送後10年以上を経て、当時よりも来店客数は大幅に増えている。なぜ人気が続くのか。

「目の前のお客さんと向き合い、スタッフの感性に委ねながら中身を変えてきました。“フルーツのひみつ堂”と言われるようになったのも、常連の男性客の『果物に特化してやれば?』という言葉がきっかけで、自分たちで栽培もするようになりました。現在の半分ぐらいだったかき氷の量も、店長の大坂早希が『私ならこれぐらい食べたい』という思いで導入。当初、私は違和感を覚えましたが、実際に提供するとお客さんは大喜びでした」(同)

取材前後に最寄り駅のJR日暮里駅や、店のすぐ横の谷中ぎんざを往復してみた。駅前も商店街もインバウンド客が目立ったが、ひみつ堂にはほとんどいない。一般のかき氷に比べて高価格だから外国人が多いかと思ったが、そうではなかった。

店内は日本人客が大半

「開業から現在まで日本人のお客さんに支えられてきました。肌感覚では約8割が日本人で、次に多いのが韓国の方。欧米系の方はほとんど来られません」(森西店主)

店の特長は、①手回しのかき氷、②圧倒的な手作り感、③カッコよさよりも親しみやすさ、だという。

「例えば圧倒的な手作り感は、秋に『和栗モンブラン』を提供していますが、この栗シロップは生栗を蒸して、スタッフ総出で作業して作る。栗ペーストは一切使いません。店内の小物も手ぬぐいや風鈴、うちわなど縁側に置いてあるようなものを選んでいます」(同)

どこか懐かしい外観、昔の小学校の教室のようなしつらえにもこだわる。「店づくりはエンターテインメント」の姿勢は手書きメニューにも。商品の中身に加えてさまざまな創意工夫が、同種の店が増えた現在でも差別化につながっているようだ。

取材途中に店舗スタッフからヘルプ要請があり、森西氏も現場作業に向かった。筆者も行列に並んだ後、試食した。注文後に現金で先払いするシステムだ。

頼んだのは前から気になっていた人気メニュー「生メロン三昧」(2100円)。カウンター席とテーブル席があるが、目の前で作業が見られるカウンター席に座ることができた。

1杯につき、手回しは132回

氷からフワフワのかき氷にするにはコツがあるという。この店の手回しは1杯につき132回。注文が入るたびに手で回す作業はエンタメ性もあって人気なのだろう。

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