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ドラッグ店ゲンキーが地方スーパーを倒せる理由 「売れなくても持続可能」、人口減少に強い仕組み

東洋経済オンライン / 2024年8月25日 10時0分

ただ、彼らの選んだ最適サイズとは、最低限の生活必需品がほぼ揃う店で、かつ、ビジネスとして成り立つ最低限の売り上げを確保できる店、というものであった。そこで出た答えが1000㎡、だったようだ。

この戦略はチェーンストア理論からすれば、至極まっとうな考え方だが、実はここまで徹底したチェーンオペレーションを展開している食品スーパー、ディスカウンターはこれまで存在していなかった。なぜなら、これまで日本の消費者は、鮮度を重視するため「プロセスセンターからの生鮮品供給を許容しない」とされてきたからである。

ディスカウントストアのオーケーとの違い

店舗のバックヤードで最終流通加工(カット、パック詰め、など)を行う、というのが原則であるため、ディスカウントストアとして効率性を重視するオーケーやトライアルであってもバックヤードは稼働させている。

しかし、食品スーパー出身ではないゲンキーにとっては、そんな原則は迷信にしか見えなかったのかもしれない。プロセスセンターで製造した生鮮、惣菜を供給することで、生鮮のコストを下げつつ、そのロス管理を実現したのである。ゲンキーはこれまで「レギュラー店」への切り替え、規模拡大を進め、その結果データを公表している。

レギュラー店による多店舗化が進むほど、売場効率(売場面積あたりの売上)、面積あたり営業利益は改善していくといった結果が得られている。この戦略、かなり成果が出ているのである。

この300坪店舗は、フード&ドラッグとしての基本構造は持っていて、化粧品、医薬品、雑貨といったドラッグ商材は、売上金額としては小さいものの、利幅が高いため、収益の支えとなっている。

2022年度の時点では、食品のみでは収益が上がる構造にはなっておらず、ドラッグ商材の支えを要しているが、今後は食品でも採算が確保できる構造へと移行していくのだろう。自社製造プロセスセンターの規模の利益、プライベートブランド比率上昇による収益力の強化を進めつつあり、収益力のインフラは着実に整いつつある。出店加速による規模の利益追求のステージに来ているとみていいだろう。

ゲンキーが地方の消費者に重宝される理由

こうして発見した300坪店舗に生鮮、惣菜をはじめとする食品一通りに日用消耗品、雑貨、化粧品、医薬品といった日常生活に必要な商品の大半を品ぞろえしているこの店は、実際にとても便利なのである。特に地方で共働き子育て中の世帯にとっては、近くにあって会社帰り(クルマ通勤が前提)にちょっと不足するものを買い足せるような店、として重宝しているようだ。

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