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「メンタルを病む60代」「余裕ある60代」の決定差 人間関係に悩む中高年を救う空海の教えとは

東洋経済オンライン / 2024年8月25日 7時0分

義理チョコをもらうと、義理のお返しをしなくてはいけません。これもなかなかの負担です。最近の若い人は、仲のいい友だちにチョコをあげるそうです。義理的なものが減ってきたのはいいことだと思います。

そのほかにも義理の飲み会などがたくさんありました。「飲み会は業務ではないなら、参加しません」と断る部下がいると驚いていた男性がいましたが、義理の付き合いは最小限にして自分の時間を楽しみたいという考え方を、中高年は少し見習ってもいいかもしれません。

会社や人のために動いていた人が、病気になったり動けなくなったりしたときに、とたんに生きがいがなくなって自己否定感が高まることがあります。義理もほどほどにして、自分の時間を楽しめるようにすることが老後の備えにもなるはずです。

日本の「三筆」と言われる、もっとも優れた書の達人がいます。空海、嵯峨天皇、橘逸勢の3人です。その空海の書に「道(い)うことなかれ人の短(たん)、説くことなかれ己の長(ちょう)」(『崔子玉座右銘断簡』)があります。意味は「人の欠点をあげつらうな、自分の長所を自慢するな」というごく当たり前のことです。

もともとは、後漢時代の学者である崔子玉の座右の銘として伝えられているようです。中国の古代の学者が座右の銘にしたということは、はるか昔から人間というのは集まれば他人の悪口を言い、自分の自慢を言いたがる人が多くいたのでしょう。

人は悪口を言うことで「団結」する

ある役所の会計年度任用職員として働きはじめたTさんは、昼休みの休憩室でのランチタイムが憂うつでした。そこに集まるのは、自分と同じ非常勤の職員たちです。昼の休憩室ではお局(つぼね)様的な2人が、他の職員の悪口を言います。「あの職員は仕事ができない」「課長はなにも決められない」。はじめのうちTさんは、「そうなんだ」と素直に悪口を聞いていました。

でも仕事をしているうちに「あんなに悪口を言うほど、悪い人ではないけど」と思うようになりました。昼休みは、職員の悪口を言うことで非常勤の団結を固める場なのでした。「あの人はダメだ」と言われ続けている職員の1人は、うつ状態で休みはじめました。

Tさんは中学時代を思い出しました。女子のリーダーが1人の女子の悪口を言いはじめ、仲間を増やしました。自分は悪口を言いたくないのに、リーダーの仲間のなかにいました。Tさんは悪口こそ言いませんが加担者だったのです。いじめられていた子は不登校になりました。

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