米ディズニー「D23」から日本企業が学ぶべきこと 大規模イベントに集結したファンの熱気と本音
東洋経済オンライン / 2024年8月25日 8時0分
作品の出演者が次々と登場し、映像や音楽、ミュージカルを交えた演出は見る者を飽きさせない。
こんな仕掛けもあった。入場時に「DO NOT OPEN」と書かれた小さな袋が渡される。
イベントの終盤、傘下のドキュメンタリーチャンネル「ナショナルジオグラフィック」の発表の際、促されて袋を開けると、中には一揃いのトランプが。そして、そのトランプを使って、全員が同じカードを引くマジックが披露された。
企業の発表イベントだが、ファンを楽しませる姿勢が貫かれている。これならば、チケット代を払ってでも行きたい、と思うかもしれない。
来場したファンのお目当てはさまざまだ。「ミュージカルが好きで、衣装を見るのが楽しみ」(カリフォルニア州在住の26歳女性)、「スターウォーズとマーベルのブースに行く」(同州在住の54歳男性)。会場には思い思いの衣装を身にまとったコスプレーヤーの姿も目立つ。「さまざまなファンと交流できることが魅力」(シアトル在住の26歳女性)。
会社と消費者の「距離」が近い
中でも来場目的として多かったのはショッピングだ。「D23の限定グッズを買いに来た」(カリフォルニア州在住の40代女性)。メイン会場に設置されたグッズ売り場は、入場制限をかけるほどの混雑ぶりだった。
ディズニーの担当者との交流を目的に挙げるファンもいた。オハイオ州から来た50歳の男性は「(テーマパークの開発を手掛ける)イマジニアリングのブースに行った。自分の好きなアトラクションの開発者と写真を撮ったり、本を出版した開発者と話したりして楽しかった」と満足げだった。
確かにこれほどのイベントは、アメリカのエンタメ産業を代表するディズニーならではのものだ。しかし、実際に会場を見て回ると、日本の企業にも参考になる部分があると感じた。
第1に企業と消費者(ファン)の距離が近いこと。D23というイベントは、消費者を集めた新作の発表会という側面がある。自社の重要な作品(商品)を、まず消費者に発表するわけだ。日本でも消費者向けのイベントを開く企業は増えているが、自社の戦略や商品展開とは別に考えているケースが多いのではないだろうか。
ディズニーの場合、消費者も企業のことを知っている。担当者も認識しているのだ。ホンダセンターの発表では、部門の最高責任者や傘下のスタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(制作責任者)が登場すると、俳優と同じぐらいの歓声が上がった。
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