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米ディズニー「D23」から日本企業が学ぶべきこと 大規模イベントに集結したファンの熱気と本音

東洋経済オンライン / 2024年8月25日 8時0分

「今回は経営陣よりも、作品の制作に携わる担当者が直接語りかける時間を増やした」(ディズニー関係者)。各ブースで担当者が来場者と交流を持つことも、企業と消費者の距離を縮める要素となっている。

日本でも、製品の開発担当者が直接、消費者に語りかけ、交流を持つ機会を増やしてもいいのではないか。消費者が企業を知るきっかけになり、「ファンづくり」につながる。

2つめは「ディズニー・レジェンド」の取り組みだ。前述のように、ディズニーに貢献のあった人々を表彰する仕組みで、1987年に創設され、今年の表彰者14人を含め、これまで318人が表彰されている。

今年の受賞者はそうそうたる顔ぶれだ。映画俳優のハリソン・フォード、映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズ……。だが、特筆すべきは、裏方的な人たちが含まれていることだ。40年近くテーマパークの開発に従事したジョー・ローディー氏、ディズニーランド初の常勤黒人ツアーガイドのマーサ・ブランディング氏などだ。

11日の授賞式では、裏方の人たちに対しても、ファンはスタンディングオベーションで迎えた。企業の功労者をファンとともに称える。そこにスターも裏方も関係ない。ショーとしての一面や日米の文化の違いはあるが、こうした姿勢は、企業とファンの一体感の醸成に一役買っている。

クリエイティビティを尊重する姿勢

クリエイターに対するリスペクトも感じられた。受賞者にはマーベルコミックの作家やディズニー・アニメーターも含まれる。作家やアニメーターの地位が低いと言われる日本としては、忘れてはならない視点だ。

今回会場で話を聞いたファンたちは「子供のころからディズニーを見て育った」と口をそろえる。昨年100周年を迎えたディズニーは、1つの文化としてアメリカ社会に根付いている。ディズニーを見て育ったファンたちが親となり、自分の子供を連れていくエコシステムができている。

もちろん、ファンからは厳しい意見もあった。「最近は利益のために映画を作っているような気がする」(カリフォルニア州在住の19歳男性)、「ディズニーに求めるのは、量より質。細部へのこだわりを忘れないでほしい」(同州在住の37歳男性)。ファンと本音ベースの交流ができるなら、企業にとってのファンイベントの価値はさらに高まるはずだ。

D23はディズニーならではの要素が多くある。一方で、消費者をいかに「ファン化」し、企業との距離を縮めるか。そうした点はディズニーから学ぶべきものがあるように感じた。

ディズニーに関連した以下の記事も配信しています。

米ディズニー、テーマパーク「超大型投資」の野心(8月17日配信)

米ディズニーが復調、映画から始まる「反転攻勢」(8月21日配信)

並木 厚憲:東洋経済 記者

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