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大阪王将が「町中華」を別ブランドで出す深い意味 文化衰退のなか、「持続可能な町中華」づくり

東洋経済オンライン / 2024年8月25日 12時0分

いちばん最初のお店は、2019年10月に東京・恵比寿にリニューアルオープンした「大龍軒」だ。イートアンドグループとしては「大阪王将」という有名な中華ブランドがあるにもかかわらず、このお店は「大阪王将」とは全く別の町中華のお店としてオープンした。

「『大阪王将』は既にイメージが確立されています。そこで、新たな町中華ブランドを立ち上げて、それを一から育てていこうという選択になったんです」(一品香 代表・鳥生恒平さん)

「大龍軒」はオープン時から非常に売り上げ好調で、2020年4月には御茶ノ水に「萬龍」をオープンしたが、同時にコロナ禍に突入した。

面白いのは、チェーンが手がけているにもかかわらず、「大龍軒」の2号店にせず、別のお店として立ち上げたということだ。その後、3店舗目として2020年11月、東京・大塚に「幸龍軒」をオープンする。

「お店の名前はそれぞれ変えて、それぞれを個性ある町中華のお店にしようという戦略は初めから打ち立てていたものです。メニューや味づくりはある程度各店の店長に任せて、お店ごとの楽しみ方を作るのが町中華らしさだと考えました。チェーン店っぽくせず、あくまで町中華として楽しめるお店づくりがポイントです」(鳥生さん)

企業が手がけるメリットと、個店らしさを、うまく共存させようという試みだ。

とはいえ、「萬龍」はオフィス街である御茶ノ水のど真ん中でオープンしたため、コロナ禍の2~3年間は売り上げの厳しい時期が続いた。近隣に住んでいるお客さんがその間を支えてくれた。

その後「肉玉炒飯」が地域の町中華のイベントで取り上げられ、しだいにSNSで話題になっていく。絵力のあるそのビジュアルはSNSに強く、その後『嵐にしやがれ』『マツコの知らない世界』でも紹介され一気にバズっていく。

「はじめは多店舗展開をする予定はありませんでしたが、予想以上の反響で店舗展開する決心がつきました。一時のブームで終わらず、お客さんのニーズが長く続いていくのを感じました。当然、『大阪王将』と比べると広がりづらいのですが、それをカバーするために調理ロボを導入することにしました。テクノロジー×町中華という形であれば展開ができるのではないかと活路を見出したんです」(鳥生さん)

6月には「萬龍」の2号店を東京ドームシティ内の「FOOD STADIUM TOKYO」にオープンした。ここから「萬龍」という町中華のブランドをさらに強固にしていくという大きな決断だった。

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