1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

大阪王将が「町中華」を別ブランドで出す深い意味 文化衰退のなか、「持続可能な町中華」づくり

東洋経済オンライン / 2024年8月25日 12時0分

職人の技術をコピーする炒め調理ロボット『I-Robo』を導入することによってクオリティが安定し、さらには人手不足の解消にもつながる。調理ロボと言っても、その腕を侮るなかれ。熟練職人の鍋さばきを様々な角度から研究し、加熱温度、加熱時間、フライパンの回転スピード、回転方向まで細かく調整、プログラミングし、コピーしているのだ。

昨今、チャーハンの人気が復活傾向にあるが、中華鍋を振るのは、肉体的な負担が大きい。職人不足や、職人の負担の軽減につながる意味で、ロボットの活用は、町中華という文化を残す一助になる可能性があるだろう。

“文化”として町中華を残す手法

これからも町中華のニーズは高まってくるとイートアンドは読んでいる。ショッピングセンター内にはまだ町中華のお店があまりないため、今後は路面店よりも商業施設内での展開を中心に考えている。

首都圏のショッピングセンターやフードホール、オフィスタワーの中など人の集まる施設に出店し、食事需要・飲み需要に応えていく。普段なかなか町中華に行けない女性や若者なども取り込めるというメリットがある。

東京ドーム店は坪月商100万円以上の売り上げを上げており、大変好調だ。

「『大阪王将』もエリアによっては町中華的に使われていますが、それがすべてのお店にハマるわけではありません。中華レストランとしての使われ方も多くあります。一方で「萬龍」は個人店っぽい広げ方を考えています」(鳥生さん)

調理については、「聘珍樓」出身の料理長が各店の店長に技術を教え、それをそれぞれの店長が各店のメニューに落とし込んでいくというやり方だ。あえて非効率なやり方をすることで、それぞれのお店の特徴が生まれる。

餃子やシュウマイなどはセントラルキッチンで仕込んで各店に配送しているが、なんと工場では1個ずつ手作業で作っている。手作りなのだ。すべてにおいて機械を取り入れるわけではなく、味や、職人の負担など、さまざまな観点からベストを選択していく形だ。

まさに「ネオ町中華」的な店づくり。老舗の町中華の事業承継は「大阪王将」が手がけているが、「萬龍」は“文化”として町中華を残す手法である。

「東京ドームシティもそうですが、こういったエンタメ感のある場所で町中華は求められると思います。価格も1人2000円台までいくとなかなか日常的にはなりません。

一方で、町中華は手軽に友達や家族で何品か頼んでシェアもでき、かつSNS的なエンタメ性もあります。我々も『萬龍』のブランディングを通してチャーハンの魅力を再認識しました」(鳥生さん)

ヤケクソ感から生まれた「肉玉炒飯」は看板メニューに

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください