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「職場のパワハラ人材」容易に解雇できないワケ 人事を悩ます「パワハラか、パワハラ未満か」

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 8時0分

「パワハラ」と断定するのが難しいケースが増えています(写真:zhengqiang / PIXTA)

組織をより良くするための“黒子”として暗躍している、企業の人事担当にフォーカスする連載『「人事の裏側、明かします」人事担当マル秘ノート』。現役の人事部長である筆者が実体験をもとに、知られざる苦労や人間模様をお伝えしています。

連載5回目は、職場で起きる「パワハラ」について、人事はどう捉え、どう対処しているのか、その実態と本音を明かします。

職場のパワハラを見過ごせないワケ

職場でのパワーハラスメント……。それは社員個人の心身や尊厳を傷つけるだけでなく、職場全体の雰囲気を悪化させ、働く意欲や生産性の低下を招く。さらに、社内でのパワハラが明るみに出れば、SNSやメディアで悪評が広がる可能性はゼロではなく、企業イメージが大幅にダウンしかねない。

【画像で確認】職場でのパワハラ断定が難しい“グレーゾーン”のケース

人材不足の日本。ただでさえ、若い人材が採りにくいのに、ひとたび「ブラック企業」などのマイナスイメージがつけば、若手人材の獲得は絶望的になる。それゆえ、職場のパワハラ問題は、人事としても決して見過ごすことのできない重要マターなのだ。

従業員向けのハラスメント相談窓口の設置や、管理職向けのハラスメント研修の実施など、パワハラ対策を講じる企業は増えている。

その動きは、2020年6月1日に施行された、「労働施策総合推進法」の改正によって、一気に加速。大企業でのパワハラ防止対策が義務化されたことにより(中小企業は2022年4月1日より施行)、職場のハラスメントへの意識はますます高まったように見える。

だが、実際はどうだろうか。確かに社会の目が厳しくなったことで、暴言や暴力などの悪質なパワハラは減ったかもしれないが、他者の目が届きにくいところで、パワハラ未満の圧に悩まされている社員は少なくないかもしれない。

「パワハラか、パワハラ未満か」

厚生労働省によれば、職場でのパワハラは、以下のように定義されると言う。

職場における「パワーハラスメント」とは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③までの要素を全て満たすものをいいます。

※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。(厚生労働省資料より抜粋)

上記にある、「業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導」とは、いったいどこまでなのか。それぞれの組織の判断に委ねられているように思えてならない。

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