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「職場のパワハラ人材」容易に解雇できないワケ 人事を悩ます「パワハラか、パワハラ未満か」

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 8時0分

人事の立場から正直に話すと、「あなた、パワハラしましたよね」と、明確にパワハラ認定するのは非常に難しいのが実情だ。

これは自身が勤務していた会社での基本的な流れだが、社員から「上司にパワハラをされた」もしくは「上司からの圧に悩んでいる」などの相談があった場合は、まずは相談者本人にヒアリングを実施する。

これまでの経緯や具体的な言動を事細かに聞き出すとともに、同じ部署内のほかのスタッフにも、パワハラの事実がなかったか、ヒアリングを行う。

上司と同年代のスタッフに聞いてみると、「若手を厳しく叱るのも指導のうちだ」と上司の肩を持つことも多い。そのため、なるべく見方が偏らないよう、さまざまな年代・属性のスタッフに聞くことも心がけている。

そのうえで、上司の側に明らかに部下を傷つけるパワハラ発言・行為があれば(上司との会話を記録した音声データやメール、チャットがあれば動かぬ証拠になる)、懲戒処分を下すこともある。

ちなみに、懲戒処分は最も軽い1から最も重い6まである。

<懲戒処分とは>
1:戒告・けん責(始末書の提出など)
2:減給
3:出勤停止
4:降格
5:論旨解雇・論旨退職
6:懲戒解雇

パワハラ「グレーゾーン」が圧倒的

でも、実際はパワハラと断定できない、つまり懲戒処分の対象に当たらない、「グレーゾーン」であるケースが圧倒的だ。

「部下が立て続けにミスをしたため、耐えかねて強い口調で叱ってしまった」「部下からの報告が少ないので、進捗を細かく尋ねてしまった」など、客観的に見ても、業務内での強めの指導やミスコミュニケーションであることも少なくない。

また、こんなケースもある。「上司がずば抜けて仕事がデキるために、部下がプレッシャーを感じてメンタルがやられてしまった」などだ。そうした本人が意図していないところで、部下に圧力がかかってしまうケースもある。

もうこうなってくると、双方の相性や業務の適性の問題も絡んでくるため、本人たちの意向も踏まえ、上司、部下どちらかの配置転換を試みる。それに一度、問題となった以上、双方がそのまま同じ部署で働くのも気まずいため、「異動」は有効な手段となる。

一方、ヒアリングの結果、「パワハラとは言い切れないものの、上司の態度や言動に問題が見られる」場合もある。その場合はさらに上役の部長や役員に登場してもらい、注意・指導をしてもらう。

ときに、上層部からの注意・指導は、パワハラや問題行動への抑止力にもなる。

部下を潰していても解雇はできない

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