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「職場のパワハラ人材」容易に解雇できないワケ 人事を悩ます「パワハラか、パワハラ未満か」

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 8時0分

このように、悪質なパワハラ行為があったと断定できない限り、基本的に「本人への注意・指導」や「配置転換」という形で“経過観察”することになり、懲戒処分まで至らないケースがほとんどだ。

私自身が見聞きした中での話だが、これまで20年以上、複数の会社で人事を経験してきて、パワハラが理由で懲戒解雇になった社員は、一人もいなかった。

懲戒解雇とは、従業員を一方的に解雇する処分のこと。退職金も出ない、懲戒処分の中で最も重たい処分だ。悪質なパワハラを何度も繰り返し、そのたびに厳重注意や減給、出勤停止などの懲戒処分をしてもまったく改善が見られない場合に、初めて検討されるべきものである。

懲戒解雇に至るまでには段階とそれ相当の事由が必要であり、パワハラをしたから即辞めさせる、というわけにもいかないのだ。

ある上司の下だけ、なぜか部下が何人も辞めていたり、休職したりしている……。そうしたケースも、本人たちからのパワハラの訴えや明らかなパワハラの事実がない限り、当該上司に懲戒処分を下すことはできない。

もちろん、部下が何人も潰れているのであれば、マネジメントに不向き、あるいは人間性にも問題があるとして、部下をつけない形での配置転換を行うなど何らかの対処が必要だ。

だが、解雇までは容易にできないため、ある種、“厄介な問題社員”として会社に残り続けることになる。人事が言っちゃいけないが、そういう人物に限って会社にしぶとく居座り、定年まで辞めてくれないのである。

「パワハラ人材は採用しない」が鉄則

たった一人のパワハラ人材が、職場環境をたちまち悪化させ、良貨を駆逐してしまうことがある。

だからこそ、そもそもパワハラ人材は、組織に入れないのが鉄則だ。私自身は、「少しでも“パワハラ臭”がしたら採用しない」ことをポリシーとしている。

とはいえ、限られた選考プロセスで、パワハラ人材を見抜くのは至難の業だ。

たとえば、応募者の中には、目標達成のために“強いリーダーシップ”で部下を導くタイプの人もいる。ときに部下を鼓舞し、ときにフォローしながらも、力強い推進力で瞬く間に結果を出していく。

こうしたデキる管理職は、即採用レベルなのだが、「強いリーダー」と「パワハラ上司」は似て非なるものであり、紙一重でもある。

一見、見分けがつかない、「隠れパワハラ人材」を見抜くべく、日々目を皿のようにして採用活動を行っているのが現状だ。次回は、パワハラ人材を見抜くために採用時に心がけているポイントについて、お伝えしたいと思う。

萬屋 たくみ:会社員(人事部長)

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