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もうすぐGDP世界3位になる「大国インド」の実情 ヒンドゥー・ナショナリズムが台頭する背景

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 9時0分

パキスタンの核開発を担った技術者にアブドゥル・カディール・カーン博士がいます。カーン博士はイラン、リビア、北朝鮮などに核兵器の製造技術を売ったのではないかといわれていますが、その全貌はいまだに明らかにされていません。

さて、インドが支配していたジャンムー=カシミールでは、次第にインドからの分離独立を目指す動きが生まれてきます。両国が核実験を成功させた直後の1999年にカシミール地方で武力衝突が起きます。短期間で終了したため「第4次印パ戦争」と名付けられることはありませんでしたが、このときパキスタンは核兵器を準備していたといわれ、緊張が高まった瞬間でした。

2019年にはパキスタンの過激派に属する青年がジャンムー=カシミールで自爆テロを行った報復として、インドがパキスタンに対して空爆を開始し(バーラーコート空爆)、インドとパキスタンの対立は両国の独立から80年近くが経とうとしているのに良好になる気配はまったく見られません。

両国とも核を保有しお互いに手が出せない(核抑止論)ために戦闘が起きても小規模なものに終わるのか。それとも実際に核が使われることになるのか。両国の対立にはつねに国際社会が目を配る必要があります。

ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭

1980年代以降、インドではヒンドゥー・ナショナリズム(ヒンドゥー至上主義)と呼ばれる思想・運動が広がりを見せます。名称から見てヒンドゥー教を重んじる運動のように見えますが、仏教やジャイナ教、シク教といったインドを起源とする宗教は包摂する姿勢をとります。

外来宗教としてのキリスト教やイスラームであっても、ヒンドゥー文化とインド国家に忠誠を誓えば同じ仲間であるという捉え方をします。つまり、彼らのいう「ヒンドゥー」はメタ宗教的な概念なのです。似ているものとしては日本の天皇崇拝です。

キリスト教徒でもイスラームでも天皇を尊崇していれば日本人とみなすというもので、天皇は日本におけるメタ宗教です。でも、日本も戦前・戦中に過剰な天皇信仰によって、宗教弾圧(たとえば大本教事件)が行われたように、ヒンドゥー・ナショナリズムは現在、他の宗教、特にイスラームへの抑圧を強めています。

このヒンドゥー・ナショナリズムの思想および運動の源流をたどると古くからありますが、それはさておき彼らは「民族義勇団=民族奉仕団(RSS)」というグループを結成します。イギリスとナチス=ドイツが戦っていた第2次世界大戦中、イギリスが倒れれば独立できるわけで、RSSはナチス=ドイツを支持していました。インド独立に際し、ムスリムに妥協的な態度をとっていたマハトマ・ガンディーを殺害したのも、RSSに所属していた青年でした。

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