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「虎に翼」LGBTQ描写に反発する人に言いたいこと 性的マイノリティを描くことは今や世界的潮流

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 10時30分

日本版で風間杜夫と名取裕子が演じていた男女のカップルは、『異人たち』ではゲイの男性同士という設定に変更。日本版では風間杜夫演じる主人公が、若い頃の自分の母(秋吉久美子)と出会い、性的な雰囲気が漂うことが、この作品の味のひとつとなっていたが、同性愛者に設定変更されることで、その要素は丸ごと削ぎ落とされていた。

アメリカ版では過去の感覚で生きる両親が息子たちの同性愛に抵抗感を示すというエピソードに時間が割かれるなどして、もとの作品のテーマ性が薄まってしまった印象だ。本来の作品の良さや物語の流れを壊してまで、改変するべき設定だったのかには疑問が残る。

当然、性的マイノリティの描写を入れること自体には何も異論はない。だが、そうした設定が物語の中で機能しないのも問題であるし、逆に機能しすぎて原作を壊すことになるのにも疑問が残る。

昔から性的マイノリティを描く作品はあった

だが、そういった方針にも変化が見られそうだ。昨年末、ディズニーのCEOは、近年の作品に性的マイノリティへの配慮が含まれることなどに言及。「クリエイターは自分たちの目的を見失っていた」「一番は楽しませることであり、メッセージ性ではない」と発言し、“揺り戻し”の姿勢を示唆している。

その点、まだ日本では“揺り戻し”は起きておらず、むしろ進んでいる最中、という印象だ。

『虎に翼』に限らず、昨年の大河ドラマ『どうする家康』でも家康の最初の側室が、女性を愛して家康のもとを去っていくというエピソードが描かれ「史実の改変では?」といった物議を醸した。

性的マイノリティのエピソードが挿入されることへの観る側の反発や動揺は、近年の日本でも見られるものだ。もちろん、そういった作品の数自体が多くなっていることに起因もしているだろう。だが、昔から性的マイノリティを描く作品がなかったわけではない。

例えば、2001〜2002年に放送された『3年B組金八先生』(第6シリーズ)では、上戸彩が性同一性障害(当時の作中の表現)のある生徒を演じた。

上戸彩演じる鶴本直が「俺は男だ!」と訴えるシーンや、父親役の藤岡弘、に「お前は女だ!」と胸を揉まれるシーンは衝撃的で、当時、このドラマで初めて、心の性と体の性が一致しないケースを知った視聴者も多いだろう。もちろん、当時のドラマでこのような題材を正面から扱うことは珍しかった。

同じ2001年に公開された映画『ハッシュ!』は、ゲイ男性同士のカップルと女性ひとりの3人がどう“家族”をつくり、子どもを育てていくのかという、20年前より現代のほうがより広く受け入れられそうなテーマの作品だ。

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