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ロシア領侵攻で高まる世界戦争への発展可能性 ウクライナ戦争はスラブ人同士の問題だ

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 11時0分

2024年8月24日、ウクライナの首都キーウ市内で、独立記念日を祝う広場に陳列された前線で使用された軍事用ドローンなど(写真・SOPAImages/GettyImages)

ウクライナ戦争が始まって、ちょうど2年と半年である。戦争としてこの2年半が遅いのか早いのか、いろいろと議論はあろう。総力戦ではない条件付き戦争という近代戦においては、つねに全力投球ではなく、有利な条件をもって交渉にあたり、停戦を考えるのがつねである。

だから、交渉という問題を考えるとこの時間の長さは当初より考えられていたことではある。しかし、戦争の被害の大きさを考えるとき、2年半はとても長いといえる。

ウクライナの新たな選択

8月24日は、ウクライナの独立記念日だった。この日を祝うべき日であるが、ロシア軍の総攻撃の噂もあった。各国大使館にはウクライナから避難命令が出ているという話も出たほどだ。

なぜそうした事態が起きたのかは、2週間前のウクライナ軍によるロシア領クルスクへの総攻撃に原因がある。

2月にドネツク近郊の要塞アウディーイウカ(アフディフカ)が陥落して以後、ロシアの東部戦線における進撃は止まることがない。だから、防戦一方のウクライナが、いわばそのロシアに奇襲攻撃をかけたということである。

これは陽動作戦なのか目くらまし作戦かはわからないが、ロシア国境を越えて侵入したという点で、ウクライナは新たな選択をしたといえる。しかし、正直に言えば、宣伝効果的側面は評価されるものの、実質的意味は悲劇的なものといえるかもしれない。

実際、西欧諸国のメディアは一斉にこの侵攻を大勝利と報道し、あるメディアはロシアの弱点を見つけたウクライナは、ロシアを敗北させるのではとさえ報じた。

もちろん、ウクライナ軍のロシアへの侵入は今回が初めてというわけではない。1年前にベルゴロド方面に侵攻してロシア軍に撃退されている。

今回はその兵の数(1万人を超す兵隊が投入されたともいう)において、その武器の量において格段に違う。さらには、このクルスクという場所は、ある意味、因縁の場所でもある。これらを考えると、まったく違っているともいえる。

因縁とは何か。この侵攻が第2次世界大戦当時のドイツ軍によるクルスク奇襲作戦を思い出させるからである。

ドイツ軍によるクルスク大戦車戦

今から81年前の1943年7月5日、ドイツ軍は最後の決死作戦に出る。これがクルスクの戦いといわれるもので、第2次世界大戦では最大の攻防線である。

結局ドイツ軍はこの戦争で敗退し、その2年後にドイツ第三帝国は壊滅する。当時の司令官はソ連側がジューコフ、ドイツ側はマンシュタインであった。

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