1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ロシア領侵攻で高まる世界戦争への発展可能性 ウクライナ戦争はスラブ人同士の問題だ

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 11時0分

この戦いは独ソ戦において決定的攻防線であり、この勝敗が、少し前の「スターリングラードの攻防戦」(1942年7月から1943年2月)とともに、ドイツのソ連への侵攻、すなわち1941年6月から始まったバルバロッサ作戦の転機となった。

2度あることは3度あるというが、2024年8月にウクライナ軍が突然にクルスク攻撃作戦を開始した。最初はナポレオンのベレジナでの戦い(1812年11月)だ。ともに激しい戦いの後、ロシアの勝利に終わっている。

クルスクはとりわけ戦車戦として有名で、上映時間8時間というソ連映画の大作『ヨーロッパの解放』の第1部が「クルスク攻防線」であった(青木基行『クルスク大戦車戦』学研M文庫、2001年参照)。

クルスクという町は昔から交通の要衝で、川の合流点でもある。1000年の歴史を持つ町でもある。また、ロシアの工業地帯であると同時に、チェルノブイリと同じ種類の原子力発電所があることでも有名で、しかも北極海のガス油田から来るガス・パイプラインの分岐点でもある。

それは、ウクライナを通ってポーランドとドイツに流れるキーステーションである。そしてウクライナ戦争後もこのガス・パイプラインは西欧にガスを供給していたのだ。

原子力発電所はクルスク以外にも、ロシアとウクライナ国境沿いにはいくつか存在する。ロストフ、ノヴォヴォロネシュスカヤ、スモレンスク、クリムスカヤ、ザポロージャなどだが、いずれもロシアが支配している地域にある。

原子力発電所はウクライナ独立以後もロシアが管理していた。それは、原子力発電がロシアに依存していたことを意味している。

なぜクルスクに軍を向けたのか

しかし、この2年半にわたる戦争で、ウクライナはドンバスの領土を失い、戦争の行く末がすでに見え始めたと思われている今、なぜクルスク攻撃を始めたのだろうか。

2024年8月になって、世界戦争の不安はガザで高まっていた。それはガザでの戦争が、イスラエルとイランとの戦争に発展するのではないかという懸念があったためだ。そうなると大規模な中東戦争、ひょっとするとNATO(北大西洋条約機構)との戦争に発展する可能性があるからだった。

そんな矢先、このウクライナ軍のロシアへの越境攻撃が始まったのだ。心配なのは、これにアメリカを含むNATO軍が参加しているのではないかという、疑念である。

これまでの戦争は、突発的侵攻は別として、戦争はウクライナ領土内で行われていた。そして戦争当事者も2つの国に限られ、だからこそウクライナ戦争はロシアの侵略戦争ともいわれていた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください