頭痛を訴える40代女性「アレルギーが原因」の衝撃 「2人に1人がかかる国民病」の知られざるリアル
東洋経済オンライン / 2024年8月28日 12時0分
花粉症、喘息、アトピー、食物アレルギーなど、2030年には2人に1人が患者になると言われている「アレルギー」。まったく症状はないと思っていたのに、大人になってから突然発症する人も増えている。元ジャーナリストで医療人類学者であるテリーサ・マクフェイル氏もその1人で、40代になって頭痛と喉の痛みで受診すると「アレルギー」と医師に言われたという。それをきっかけにアレルギーについて調べ始めると驚くべき実態が次々と明らかになった。マクフェイル氏がアレルギーの専門家や患者たちを5年以上取材して書き上げた『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』について、訳者の坪子理美氏が本書の読みどころとアレルギーの実態を紹介する。
頭痛と喉の痛みの原因がアレルギー?
2015年。医療人類学者として大学教員の職に就き、講義、研究、執筆に奮闘していた40代のテリーサ・マクフェイル氏は、突如として猛烈な体調不良に襲われた。1年足らずのうちに4回も細菌感染症にかかり、主治医から耳鼻咽喉科の専門医のもとへと送られた彼女は、医師からこんな言葉を聞かされる。
【書籍】知られざるアレルギーの全貌を解説した新刊書『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』
「ただの感染症で起こるような炎症よりも、はるかにひどいですね。アレルギーをお持ちなんだと思います」
アレルギーという医師の見立ては、マクフェイル氏にとってまったく意外だったという。当時、彼女が抱えていた症状は頭と喉の痛み。激しいくしゃみや鼻水に苦しめられたこともなければ、目の腫れや痒みにも、肌の赤みや湿疹にも、吐き気や腹痛にも襲われたことはなかった。
ただ、「アレルギー」という言葉に思い当たるところはあった。20年近く前、疎遠だった父が蜂毒によるアレルギーで亡くなっていたのだ。浜辺へのドライブを楽しんでいたところ、窓から車内に飛び込んできた小さな1匹の蜂に首筋を刺されたのだという。驚きつつもハンドルを握り続けた彼は、みるみるうちに呼吸困難で運転ができなくなり、救急車で病院に運ばれるまでの間に亡くなった。
以来、娘であるマクフェイル氏は蜂の羽音や姿におびえるようになった。だが、それを除けば父のこと、そしてアレルギーのことを考える機会は年々減っていた。父の突然の死の知らせから20年近くが経ち、こうして自分自身がアレルギーの診断を受けるまでは。
全世界でのアレルギー有病率は30~40%
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