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頭痛を訴える40代女性「アレルギーが原因」の衝撃 「2人に1人がかかる国民病」の知られざるリアル

東洋経済オンライン / 2024年8月28日 12時0分

英語圏の農業従事者の間では、俗称で「農夫肺」といわれる病気が古くから知られていた。カナダ労働安全衛生センター、オーストラリア農業従事者衛生センターなどの説明によれば、農夫肺は腐敗した干し草などの粉塵を繰り返し吸い込むことで、繁殖していたカビの胞子や細菌に対するアレルギーが起こるもの。

悪寒、発熱、咳、胸の締めつけ感、倦怠感が生じる。現在では外因性アレルギー性肺胞炎と呼ばれる疾患の一種である。

農夫肺らしき事例の記載が初めて行われたのは1713年のことで、20世紀前半には次々と症例が報告されるようになった。それに加え、カエデの樹皮やコルクの加工業者、ハトの飼育者、鳥の羽毛の加工業者など、動植物由来の物質によっても類似の肺胞炎が起こることが知られはじめた。

現代では、同様のアレルギー性肺胞炎がエアコンや加湿器のカビによっても生じることが知られている。

職業病としてのアレルギーは、農業・製造業以外の分野でもしばしばみられる。

医療従事者や実験科学者の間では使い捨てゴム手袋によるアレルギーが多発。アレルゲンの飛散が少ないパウダーフリー手袋や、天然ゴムを使わないラテックスフリー手袋が普及するようになった。絆創膏、包帯、コンドームなど、身近な衛生用品にもラテックスフリー製品が増えている。

また、著書『バッタを倒しにアフリカへ』『バッタを倒すぜ アフリカで』(いずれも光文社新書)で知られる昆虫学者の前野ウルド浩太郎氏は、研究対象であるサバクトビバッタに対する皮膚アレルギーを抱えていることを綴っている。

大学院時代からサバクトビバッタの捕獲、飼育、解剖を重ねた末、この虫に皮膚の上を歩かれるたび、赤くて痒い皮疹(前野氏の言葉では「赤き紋章」)が足跡のように生じるようになってしまったそうだ。

他にも、科学者が自身の研究材料に対するアレルギーを起こしてしまう事例はよく知られており、マウス(実験用ハツカネズミ)などへのアレルギーは実験動物を扱う研究者や実験補助員の20%にみられるという(阪口雅弘・白井秀治「実験動物アレルギー」『アレルギーの臨床』2022年5月号、北隆館、p.352-356)。

200年で激変したヒトの生活様式

蜂毒によるアナフィラキシーで父を亡くし、自身も呼吸器アレルギーの診断を受けたマクフェイル氏は、次のような疑問を抱く。アレルギー体質は遺伝するのだろうか?

「アレルギー」という語が生まれたのはつい1世紀ほど前のことだが、生命現象としての歴史はそれより長いと考えられている。古代エジプトには蜂刺されで命を落としたファラオがいるとも言われているし、イヌ、ネコ、ウマなど、ヒトと進化の道筋を共有する動物たちにもアレルギー性疾患は存在する。

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