頭痛を訴える40代女性「アレルギーが原因」の衝撃 「2人に1人がかかる国民病」の知られざるリアル
東洋経済オンライン / 2024年8月28日 12時0分
マクフェイル氏が同僚や友人たちにアレルギーの話をしてみると、思いがけず多くの反応があったという。ある人は花粉症に、ある人は湿疹に、ある人は喘息に長年悩まされ、ある人は子供が食物アレルギーを抱えていた。しかも、それらの話題の多くはマクフェイル氏にとって初耳だったという。
「まるで突如、自分の知る誰もかもが何らかのアレルギー性疾患を持っているとわかったかのようだった」と、彼女は著書『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』に綴っている。現時点で全世界でのアレルギー有病率は30〜40%だという。
たとえ症状が重篤なものでなくても、アレルギーの影響は日常生活に深く及ぶ。
日本でもなじみ深い花粉症を例にとれば、東京でのスギ花粉の飛散シーズンはゆうに3カ月を超える。事前にマスクや保湿ティッシュをまとめ買いし、花粉の時期には服装や髪型や化粧を変え、鼻詰まりでぼんやりする頭を抱えながら仕事に向かうという方も多いことだろう。
ちなみに筆者の場合、熱っぽさや鼻炎をはじめとする季節性の症状は11月に始まり、落ち着くのは春も終わりになってからだ。実に1年の半分近くにわたって不調を抱えていることになる。その間、講演や移動を伴う仕事に支障が出たり、副鼻腔炎を併発して喉の痛みや顔の圧迫感、猛烈な歯の痛みに苦しめられたりと、生活の質(QOL)は顕著に低下する。
昨年ついに手術に踏み切り、副鼻腔炎の重さや発症頻度は大幅に下がったが、鼻炎や目の痒みがなくなるわけではない。
2020年のパナソニックの調査によれば、花粉症の社会人が仕事のパフォーマンス低下を感じる時間は1日につき平均で約2.8時間。同社の推計では、花粉症によるパフォーマンス低下がもたらす労働力低下の経済損失は、なんと1日あたりで2,000億円超に相当するという(パナソニック「社会人の花粉に関する実態調査」)。
世界全体での抗アレルギー薬の市場規模はいまや年間300億ドルに迫り、アレルギー検査と治療を合わせた販売額は、2026年までに500億ドルを超えると予測されている。
また、重篤な食物アレルギー患者にとっては生命線ともいえるアレルゲンフリー(アレルギーの引き金となる成分の含有量がゼロに近い)食品の市場規模は、2030年までに年間1兆80億ドルに達すると見込まれている。アレルギーは大きな損失をもたらすものであると同時に、大きな市場を支えるものともなっているのだ。
職業病・生活習慣病としてのアレルギー
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