みそ汁専門店は「おにぎり」に次ぐブームとなるか だしやみそ、具材を選択する「カスタムみそ汁」
東洋経済オンライン / 2024年8月28日 12時0分
みそ汁だけでは物足りないと思っていたら、ごはん&小鉢セット(350円)があったので、これも注文することに。ちなみにごはんは単品(150円)でも注文可能だ。
下ごしらえで野菜本来の味を引き出す
野菜の具材B(550円)とごはん&小鉢セット(350円)で合計900円。みそ汁と小鉢、ごはんでこの価格は正直、安くはない。900円あれば、ファストフードなら満腹になるし、ラーメンや他のものも食べることができる……と頭を過ったが、みそ汁専門店の実力を見せてもらおうではないか。
待つこと4、5分でみそ汁とごはん&小鉢セットが目の前に運ばれた。みそ汁は大きなお椀にたっぷりと入っていた。木製のスプーンですくってみると、具材もたっぷりと入っている。筆者がBを選んだのは、みずなはまだしも、えだまめやピーマン、トマト、ズッキーニはわが家では絶対に入れることがないからである。そもそも筆者はみそ汁に2種類以上の具材は入れない主義なので、食べ慣れない具材がたっぷりと入ったみそ汁にとても興味があったのだ。
ということで、まずは具材を食べてみる。あれ?どれも夏野菜ならではの力強くて濃厚な味わいがする。とくにズッキーニはこんなにおいしいものだったのかと驚いた。
「ズッキーニはせいろ蒸しにしたものを使っています。みそ汁と合わせたときに野菜本来の味が楽しめるように、茹でたり、素揚げにしたり、オーブン焼きにしたりと、しっかりと下ごしらえをしています」(福田さん)
家庭で作るみそ汁は、切った野菜を鍋に放り込んで煮込むだけなので、野菜本来の味もなくなってしまう。まぁ、それはそれでおいしいのだが、ここのみそ汁はまったくの別物である。立ち位置がスープではなく、メインなのである。たった1杯のみそ汁を作るのに、ここまで手間ひまをかけるからこそ専門店と名乗ることができるのだ。
小鉢のだし巻きとひじきもおいしかったが、みそ汁だけでもおかずとしてのポテンシャルは十分高い。あっという間に完食してしまった。それにしても、店主の福田さんはいったい何者なのか。そして、どんな経緯でみそ汁専門店をオープンさせたのか。
みそ汁専門店は父親の介護が原点
もともと料理が好きで、大手料理教室で講師として8年間働いていた。ところが、両親の介護をすることになり、教室を辞めてゴルフの練習場で働きながら両親の面倒を見ていたという。
「母は2016年に亡くなり、その4年後に父は寝たきりになりました。介護食を作る中で2人が好んで食べたものがみそ汁だったんです。父を介護していたときはミキサーでペースト状にしていましたが、野菜を下ごしらえをして、かつおや煮干しでしっかりとだしを取ったみそ汁を父はとても喜んでくれました。その頃、友人に『みそ汁専門店をやりたい』と話していました」(福田さん)
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