みそ汁専門店は「おにぎり」に次ぐブームとなるか だしやみそ、具材を選択する「カスタムみそ汁」
東洋経済オンライン / 2024年8月28日 12時0分
2021年に父親が亡くなり、8年の介護生活に終わりを告げた。みそ汁専門店のことはすっかり忘れて日常生活を送っていたが、友人から「みそ汁のお店はやらないの?」と聞かれて、真剣に考えるようになった。それがオープンする1年半程前の話である。
「みそ汁は日本古来のものですし、日本人であれば嫌いな人はいないだろうと思い、やってみようと。みそは味の違いがはっきりと出るものを選びました。手作り味噌は米味噌ベースで塩分を10%以下に抑えた減塩タイプです。ごはんにもこだわり、5つ星のお米マイスターが選んだ愛知県産米のあいちのかおりを使っています」(福田さん)
みそ汁としての完成度の高さもさることながら、味わったときに幼い頃の記憶が蘇ってきたのは筆者自身も驚いた。筆者の両親は生まれも育ちも名古屋なので、豆味噌を使った赤だしがわが家では定番だった。とは言っても、和食店や料亭のような上品なものではなく、サトイモやナス、玉ネギ、大根など何でも入れていた。しかも、朝に作ったみそ汁を温め直して、昼も夜も食卓に並んだ。幼い頃は煮詰まったみそ汁が嫌いだった。
しかし、今思えば、母はだしの素を使わず、頭とはらわたを取り除いた煮干しやかつお節で丁寧にだしを取っていた。味噌もお椀の底に豆の粒が残る良質なものを使っていた。大人となった今、母のみそ汁が恋しくてたまらない。その味の記憶をたどるべく、再びここ「みそ汁や まり福」を訪れようと思う。
永谷 正樹:フードライター、フォトグラファー
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