西島秀俊の「ハリウッドデビュー作」がすごかった 配信元の「Apple TV+」の認知度は低いけれど良作
東洋経済オンライン / 2024年8月28日 11時30分
西島秀俊がハリウッドデビューしていた。
西島が謎のロボット研究者を演じるダーク・ミステリー『サニー』(全10話、Apple TV+)は7月10日から9月4日まで毎週水曜日に1話ずつ配信しており、8月28日には第9話が配信される。物語はいよいよ佳境を迎えているところである。
ハリウッドも西島の資質をよくわかっている
カンヌ国際映画祭4冠、アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で世界的に注目されている西島が海外での活躍を視野に入れて、22年もの間所属していた事務所から独立を発表したのは今年5月のことだった。
ハリウッド大手で、トム・クルーズやブラッド・ピットらが所属するタレントエージェンシー・CAA(クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー)と契約した最初の勝負作としては、『サニー』は悪くない。
西島が演じるマサは、アメリカ人のスージー(ラシダ・ジョーンズ)と結婚し京都で暮らしている。あるとき息子をつれて北海道に向かったところ、飛行機事故で息子共々消息不明になる。彼は妻に「サニー」という新型家庭用ロボットを残していた。
電子機器メーカー・イマテックで冷蔵庫の開発事業を行っていたはずのマサがなぜ、ロボットを作っていたのか。一連の謎の背後には犯罪組織の存在や、ロボットのプログラムを書き換える「ダーク・マニュアル」の存在が……。妻を混乱に陥れる謎を秘めた人物・マサは、公安刑事などをよく演じている西島にぴったり。ハリウッドも西島の資質をよくわかっているようだ。
西島演じるマサは、ある事情でしばらく家に引きこもっていたところ、京都のラーメン店でスージーと出会い、意気投合して結婚。男子をもうけ、仲睦まじく暮らしていた。息子の保育園にバイク(サイドカー)で迎えにいくようなイクメンぶりも発揮していたが、じつは愛妻に本当の仕事をひた隠していた。
マサが開発したらしいロボット・サニーを、スージーは当初毛嫌いしていたが、次第に打ち解けていき、ひとりと一台で協力して夫の秘密を探っていく。
ロボットがソフトバンクのペッパーくんの印象をもっとやわらかくした感じで、スージー共々、見ていて徐々に愛着が湧いてくる。かわいい顔とちょっと邪悪な顔になるときなど表情の変化が楽しい。
後半戦、第8回まで見た時点で、マサが引きこもっていた理由とロボットを作ることになった経緯がわかってくると、なるほどなるほどとナットクの展開である。このナットクの登場人物の過去が、現在、未来にどう作用していくか、まとめどころに期待が高まる。
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