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ドンキが「ブルーノ・マーズ」CMを流す深い理由 「まじめにふざける」企業の地道な改善の結果だ

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 8時20分

こうした来訪客への調査は、すでに行われていて、決算資料では「免税実績No.1商品」として「ベイク クリーミーチーズ」が挙げられている。「抹茶」でも「桜」でもないのだ。なんでも「暑い国でも溶けにくい」ことから、タイや台湾、韓国で大人気なのだという。これは、実際に顧客に聞いてみないことにはわからないことだろう。ドンキが本気でインバウンドの人々の好みを調査し、それに対応しようとしているのがわかる。

ドンキはインバウンドによる営業利益の目標として、今期は1750億円を掲げている。前期をさらに上回る目標を立てているのだ。

つまり、ドンキはインバウンド需要をさらに拡大させ、世界的な観光地としてドンキを成長させようとしている。そのとき、世界的ミュージシャンであるブルーノ・マーズをCMに起用すれば、世界に向けたアピールはばっちり。このキャスティングは、現在のドンキの方向性にぴったりなのだ。

もちろん、こうした起用の裏側には、ブルーノが、ドンキの熱烈なファンだったという偶然もあっただろう。しかし、こうしてみると、ドンキの「ちょっとした思いつき」に見える戦略の数々は、実はかなり理知的かつ合理的である。

そもそも、ドンキは店の雰囲気とは異なり、かなり堅実かつ地道な改善を重ねてきた企業でもある。ドンキについての著作もある坂口孝則は、PPIHの広報に話を聞くと「『普通のことを普通にしただけです』といった当たり前の話しか聞こえてこない。ドン・キホーテのイメージは、むしろ過激で危うい感じがある。ただ、実際には常識的で、そして“つまらない”のだ」と書いている。筆者もドンキに関する著作を持っており、相応の取材をしてきたが、まさに同じ感覚である。

関連記事:訪日客が「ドン・キホーテ」に必ず足を運ぶ理由 最新決算に驚愕!DQNの店から「みんなの店」に

こうした地道な改善にはどのようなものがあるか。例えば、坂口も紹介しているが、majicaアプリの中にある「マジボイス」というサービス。これは、発売済みのPB商品に対して、アプリを通じて顧客から「ダメ出し」を募集するもの。これによって、商品を少しずつ改善させていき、店舗に再投入する。

やっていることは典型的なPDCAサイクルを回しているに過ぎない。しかし、その着実な積み重ねがなされている。この仕組みのおかげもあって、今やドンキのPBは売上高2461億円を稼ぎ出すまでになっている。

さまざまなところで見られる「ドンキの堅実さ」

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