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「100万部売れた絵本」の読者が夢中になる仕掛け 『ぜったいにおしちゃダメ?』大ヒットの理由

東洋経済オンライン / 2024年8月30日 16時0分

菊池良さんの新著『えほん思考』は、古今東西の名作絵本から暮らしを豊かに・ビジネスを楽しくする26の思考術・発想法を抽出し紹介しています(写真:kyokyo/PIXTA)

大学4年生のときに自己PRウェブサイト「世界一即戦力な男」を作り、インターネット上で話題となった菊池良さん。その後、会社員時代を経て専業作家として独立、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』は累計17万部の大ヒットを記録しました。

そんな菊池さんの新著『えほん思考』は、古今東西の名作絵本から暮らしを豊かに・ビジネスを楽しくする26の思考術・発想法を抽出し紹介しています。

同書から一部を抜粋し、3回にわたってお届けします。

一方通行より双方向

映画は見たお話で泣く。
ゲームは自分がした苦労に泣く。
──宮本茂(ゲームデザイナー)

私たちは一方通行なものよりも、双方向なものに楽しみを覚えることがあります。たとえば、カレー屋でからさが選べることによって、どのぐらいのからさにしようかと考える楽しみが生まれます。

ものごとをインタラクティブにすることで、参加要素が生まれます。そうすることで、私たちはより能動的に楽しみや愛着を感じるのです。

ビル・コッター『ぜったいに おしちゃダメ?』サンクチュアリ出版

【画像】100万部売れた本の表紙。読者が夢中になる仕掛けがある

『ぜったいに おしちゃダメ?』は表紙に大きな赤いボタンが描かれています。どうやらこの赤いボタンを押してはいけないようです。

ページを開くと、ラリーという紫色のモンスターが出てきて読者に呼びかけます。この赤いボタンは押しちゃいけないと。

ラリーは押しちゃいけないと念押ししますが、すぐに押すことを誘惑してきます。ボタンを押してはいけないと言われると、それをするとなにが起こるのか気になってしまうのが人間というものです。ラリーの誘惑に負けて、読者がボタンを押してしまうとたいへんなことが起こるのでした──。

この絵本はタイトルからしてユニークです。禁止されるとかえってそれをやりたくなってしまうことを「カリギュラ効果」と呼びますが、そういった人間の心理を利用した魅力的なタイトルになっています。

この表紙を見た瞬間、「押したらどうなるのだろう?」と前のめりの姿勢になります。さらにこの絵本は押すだけではありません。

絵本を振ったり、こすったりさせることで、ストーリーは進行していきます。こういった仕掛けが人気となり、この絵本はシリーズ化して、これまでに7タイトル出ています。日本では2017年に翻訳され、2018年には国内で最も売れた絵本になりました。累計で100万部以上も売れています。

「参加」を求める絵本

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