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言われなき誹謗中傷を受けたときの心の対処法 痛みを和らげるには痛みを受け入れる必要がある

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 17時0分

自己批判をしたところで、誹謗中傷がなくなるわけでも、その痛みが消えるわけでもありません(写真:Blue flash/PIXTA)

矢面に立たされることが多いリーダーは、言われなき誹謗中傷を受けて苦しむことがあります。グロービス経営大学院教授の若杉忠弘氏は、「傷ついたときに痛みに抵抗するとかえって痛みが増幅する。自分自身で心身を整える“セルフ・コンパッション”で対応することで痛みを和らげることができる」と言います。Googleも注目するセルフ・コンパッションを日本で広める若杉氏が、心が傷ついたときの対処法について解説します。

※本稿は若杉忠弘著『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』から一部抜粋・再構成したものです。

心に矢が刺さったときには

次の逸話を読んで、みなさんはどう思われるでしょうか。

ある人が毒矢に射られました。すぐに毒が回り始めています。

医者が駆けつけ、命を救おうと、毒矢を抜こうとします。しかし、その人はこう言います。

「いや、待て。この矢はどこから飛んできたのか。だれが矢を私に射ったのか。その人はどんな人なのか。それがわかるまでは、この矢を抜くな」

きっと、こう思ったでしょう。

そんなこと言っていないで、矢を抜けばいいのに。

そうなのです。矢をすぐに抜けば、痛みは最小限に抑えることができます。

誰が矢を放ったのか、などと考えていては、痛みは減るどころか毒が回り、ますますつらくなるばかりです。

矢を射られたある人とは、私たちのことを表していると言ったら驚くでしょうか。

もちろん、今の時代、職場で物理的に矢が飛ぶことはありません。しかし、多くの方が、心に矢が刺さったときに、この悲劇とまったく同じことを日々、繰り返しているのです。

たとえば、リーダーは矢面に立たされることがよくあります。そのとき、みなさんが言われなき誹謗中傷を受けて、傷ついたとしましょう。

そして、こう思うのです。

「誰がこんなことを言っているのか」「なぜ、こんなことを言われないといけないのか」と怒りが込みあげてきます。

考えれば考えるほど、理不尽に思えてきます。ネガティブな感情の渦に、夜の寝つきも悪くなります。こうして毒が回るかのように、どんどん、つらくなっていくのです。

まさに、毒矢の逸話と同じ筋書きが展開されているのです。

痛みに抵抗することで苦しみとなる

たしかに、言われなき誹謗中傷を受ければ、心に痛みを負います。ここで問題なのは、痛みに抵抗していることなのです。そんなことが起きるべきではなかったと、周りを責めている態度が抵抗です。

そして、抵抗することによって、痛みが増幅していることに注目してください。

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