1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

今こそ「世阿弥」現代人が共感する600年前の言葉 未来への不安に「答え」を見出すヒントがある

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 16時0分

室町時代に能を大成させた世阿弥の言葉には、現代のビジネスパーソンが共感するポイントもたくさんありそうです *写真はイメージです(画像:sonnet / PIXTA)

室町時代に、父の観阿弥(かんあみ)と親子で能楽を大成し、多くの書を残した世阿弥(ぜあみ)。歴史の授業で名前を聞いた記憶はあっても、あまりよく知らない、という人も多いのでは。しかし世阿弥の残した言葉には、ビジネスパーソンが仕事術としてすぐに使える要素がたくさんあります。そこで改めて世阿弥について、能楽師・森澤勇司氏の編訳『超訳 世阿弥』より一部を抜粋しご紹介します。

世阿弥は「天才プロデューサー」

みなさんは世阿弥と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

【写真】今こそなぜ「世阿弥」? 600年を経ての「新鮮な」世阿弥の言葉の数々

社会科の教科書で見たことがあるくらいが大半ではないでしょうか。では、「初心忘るべからず」という言葉はどうでしょうか?

こちらは聞いたことがあるとか口に出したことがあるという方が大半だと思います。そのくらい有名な格言です。

多くの日本人が知っている「初心忘るべからず」という格言を生み出したのが、室町時代の能役者世阿弥です。

世阿弥の活躍した時代は室町時代、西暦でいえば1300年代後半です。現代まで600年間演じ続けられる能楽の基盤を作った能役者であり天才プロデューサーです。世阿弥の演劇論と数多くの能楽作品が現代まで伝承されています。

ちょうど現代の人気 YouTuber が古文書に独自の解釈や仮説を語るように、知的好奇心を刺激するメディアとして能は世阿弥によって大成されていきました。

作品にも神道はもちろんのこと仏教や禅だけにとどまらず儒教の四書五経の要素まで濃厚に含まれています。

題材も日本書紀、源氏物語、平家物語、伊勢物語、万葉集、百人一首、など、ただ引用するだけでなく独自の解釈や謎解きをするようなスピンオフ作品が数多く作られました。

また、能は旅人の見ている夢や脳内映像を展開するような発想で作られています。ちょうど『銀河鉄道999』でメーテルが鉄郎の夢を読み取るドリームセンサーを観客全員が持っているような感覚です。その夢のモニターが能舞台です。

能楽の物語は9割が目に見えない世界を描いています。

神、鬼、妖精など自然に対する畏怖。武将の幽霊などすでに人生を終えた魂が生前の後悔を語る作品も多く、ひすいこたろう氏の名著『あした死ぬかもよ?』に描かれる武士道の世界観にも通じています。

能楽は被害者が加害者の演技をするような場面が多く、作品の中では身分の低い人を描いた曲のほうが尊重される傾向があります。戦争を描く曲に関しても勝者ではなくほとんどが敗者を描いたものです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください