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「中宮彰子が皇子出産」喜ぶ道長と周囲の"温度差" 彰子のめでたい出産に喜べなかった人々も

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 11時0分

後継者を敦成か敦康のいずれにするかについては、意外にも、娘の彰子が道長に反発した。一条天皇の望み通りに、自分の息子ではなく、敦康親王に継がせるべきだと、彰子は考えたのである。彰子は養母として、敦康親王の立場に同情したようだ。

だが、願いはかなわず、父に押し切られてしまうと、行成が『権記』に「后宮は丞相を怨み奉られた」と書いているように、彰子は父・道長のことを恨んだのだという。

そんなふうに、敦康親王をはじめとして、敦成親王の誕生によって、運命が変わった人のことを思えば、酔っぱらって無邪気に自分の一族の栄華を誇るのは、あまりにデリカシーがない。妻の倫子は、いたたまれなくなって、その場を立ち去ったのであろう。

そうして自分の妻や娘に失望されながらも、道長は権力掌握にひた走ることになるのだった。

【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
『藤原行成「権記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
源顕兼編、伊東玉美訳『古事談』 (ちくま学芸文庫)
桑原博史解説『新潮日本古典集成〈新装版〉 無名草子』 (新潮社)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
繁田信一『殴り合う貴族たち』(柏書房)
倉本一宏『藤原伊周・隆家』(ミネルヴァ書房)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)

真山 知幸:著述家

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