フジテレビを辞め田中大貴アナが起業したワケ プロ野球などの実況中継しつつ会社を経営
東洋経済オンライン / 2024年9月1日 9時0分
「若い頃も今も、たくさん資料を作っています。でも、あえて資料はもってこない。頭の中に情報を入れておいて、目の前で今から起きることについてしゃべるのが僕のアナウンスですね。スポーツは確率論で動くので、どうなればどういう展開になって、選手や指揮官はどの確率をとりに行くか、というのを常に視聴者に提案するのが大事です。言葉を用意しているとその判断が鈍り、伝えなければいけないことを置いていく可能性があるからです」
フジテレビのスポーツ部門のエース、田中氏は大舞台を回すMCや実況アナとして実績を重ねていく。バンクーバー冬季五輪(2010年)、リオデジャネイロ夏季五輪(2016年)キャスター、すぽるとメインキャスター、日本シリーズ実況中継、MCとして第2回、第3回WBC現地取材。
「今はもうテレビだけじゃない」
そんな田中氏が「フジテレビ退職」を考え始めたのは2015年のことだ。
「『すぽると!』が2016年に終わると伝えられた。僕のスポーツMCキャリアも10年の区切りで。僕はあくまで“スポーツ実況者”だと思っていた。バラエティなどもたまにはやっていましたが、報道などの仕事はほぼ断っていた。これからもスポーツ一本でやると決めていた。
それにこの頃から、地上波テレビだけじゃなく、DAZNが出てきて、AbemaTVが出てきてAmazonプライムビデオが出てくる。メディアが多角化した時期だったんです。
今はもうテレビだけじゃない。テレビで培った経験、ノウハウで他のメディアに貢献できるんじゃないか。マイクの前でスポーツを伝えることができれば、僕はどのメディアでもよかったので、その頃から独立を考え始めて、2018年に独立したんです」
オリンピックなど世界の大舞台も踏んだ。大谷翔平を10代から取材し、トップアスリートとも交友がある。華麗なキャリアを経ての転身ではあった。
多くの局アナはフリーになって、人気番組のMCをつとめる。ギャラが跳ね上がり、サラリーマンから一躍セレブの仲間入り、というイメージがあるが、田中氏のセカンドキャリアは一味も二味も違っていた。
会社経営と実況中継というセカンドキャリア
2018年5月に株式会社インフライトを設立。自身は引き続き、BSやCS、ネット配信を中心にプロ野球など10種目以上の実況中継を担当する。そのしゃべりはますます磨きがかかった印象があるが、その傍ら田中氏は、ビジネスの最前線で多彩な活躍をしている。
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