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「隠れパワハラ人材」見抜く採用担当あの手この手 組織に入れないため"パワハラ臭"を嗅ぎ分ける

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 8時0分

最近はオンライン面接も増えたが、やはり対面での面接のほうが応募者の人柄を知るうえでメリットが大きいのは確かだ。

それは、面接中のみならず、“面接以外の場”での態度も見られるからだ。たとえば、応接室に通される前の受付での対応や、応接室で社員からお茶を出されたときの態度……。そうした面接以外のシーンで、応募者がどういう態度や言動をとったか、受付やお茶を出してくれたスタッフにヒアリングすることもある。

とくに40~50代の男性に多いのだが、面接ではソフトで人当たりもいいのに、それ以外の場での態度が横柄な人も一定数いる。おそらく、受付やお茶を出してくれたスタッフを“自分よりも下の立場”だと思って、高圧的な態度になっているのだろう。面接前の気を抜いている時間だからこそ、本性が出やすい。

そういう人は、入社後も部下や立場が弱い人たちを軽視し、パワハラする恐れがあるため、不採用候補になる。

ちなみに、私がかつて勤めていた会社の事務職の女性は、応募者の受付対応やお茶出しをしてくれていたが、「私への態度で、応募者が採用されるか、不採用になるかが一瞬でわかるようになった」と言っていた。

つまり、自身への態度がぶっきらぼうだったり、横柄だったりすると、「この人は間違いなく選考で落ちるな……」と、確信していたということだ。

選考は、面接官だけでするわけじゃない。ときに他のスタッフも目を光らせる、“総力戦”で当たることもある。

一方、面接以外でその人物を知る手段として、「リファレンスチェック」というものもある。これは、応募者の職務経歴や実績に虚偽がないかどうか、本人の同意を得たうえで前職の上司や同僚、部下などに確認できる仕組みだが、このリファレンスチェックの内容も大いに参考になる。

それは、応募者のマネジメントの仕方や部下へのコミュニケーションの取り方など、前職の関係者へのインタビューによって、詳細に把握できるからだ。

たとえば、「〇〇さんは強いリーダーシップで部下を叱咤激励することも多い」とか、「やや神経質なタイプで、部下の進捗状況を細かく尋ねることもある」などのコメントがあった場合は、パワハラ気質がまったくないとも言い切れない。

このように気になるコメントがあった場合は、面接でも入念に掘り下げるようにしている。

パワハラ加害を恐れて絵文字を多用する上司

最近は、部下から「怖い」と思われないよう、ビジネスチャットで絵文字を使う40~50代の管理職も出てきている。絵文字を多用する「おじさん構文」とは、もしや若い世代から恐れられないための窮余の策なのかもしれないと思うほどだ。

パワハラは決して許されないものだが、パワハラ加害を恐れすぎるのもまた働きにくさにつながってしまう。

誰もがその時々の体調や精神状態で感情が高ぶり、つい強い口調になってしまうこともあるし、受け取り側も必要以上に重く、悲観的に捉えてしまうこともある。だからこそ、互いの誤解や食い違いをなるべく早い段階で解消し、理解し合えるような空気も大切だ。

人事としては、パワハラしそうな人材を事前に見抜き、断固採用しないのはもちろんだが、一方でパワハラを過度に恐れすぎない「風通しのよい職場づくり」をしていく必要もあるのかもしれない。

【前記事】「職場のパワハラ人材」容易に解雇できないワケ」

萬屋 たくみ:会社員(人事部長)

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