「数値化するほど成果が出ない」日本企業の深刻盲点 「局地」と「短期」で相性が悪い数値化を有効活用
東洋経済オンライン / 2024年9月2日 10時0分
「数字に弱く、論理的に考えられない」
「何が言いたいのかわからないと言われてしまう」
「魅力的なプレゼンができない」
これらすべての悩みを解決し、2万人の「どんな時でも成果を出せるビジネスパーソン」を育てた実績を持つビジネス数学の第一人者、深沢真太郎氏が、生産性・評価・信頼のすべてを最短距離で爆増させる技術を徹底的に解説した、深沢氏の集大成とも言える書籍、『「数学的」な仕事術大全』を上梓した。
今回は「数値化しても成果が出ない」という現象を取り上げ、数値化と成果を結びつける考え方を紹介する。
「数値化しなさい」という正論の罠
さっそくですが、あなたにひとつ質問です。
「あなたは仕事において積極的に数値化をしていますか?」
圧倒的に多いのは「NO」と答える人であり、「YES」と答える方は素晴らしいと思います。そこで「YES」と答える方にもうひとつ質問をします。
「積極的に数値化した結果、肝心の成果は良くなりましたか?」
この質問は私がビジネス数学・教育家として企業の人材育成や組織開発のサポートをする中で、実際の研修で行う質問の一部です。意外にも、2番目の質問に対して前向きなコメントが聞けません。
ここで重要なのは、「積極的に数値化しているにもかかわらず成果が出ない」という事象が存在することです。いったいなぜでしょうか。
仕事の生産性を上げたり業務改善を進めるためには、その仕事に関する情報を数値化することが必要です。たとえばマーケティング活動を最適化したいのであれば、かけている費用や時間を数値で測定し、それに対して得られるものも数値で把握することが必要でしょう。そのため、ビジネスにおいて「数値化しなさい」という指示は、極めて正しい指示と言えます。
しかし、数値化を推奨すればするほど、社内に定着すればするほど、実は従業員を苦しめる結果になることをご存じでしょうか。
なぜ「積極的に数値化しているにもかかわらず成果が出ない」ということが起こるのか。私の答えは、「そもそも数値というものは人間との相性が極めて悪いから」となります。
「数値」は人間っぽくない
たとえば、ビジネスパーソンに「数値」という言葉から連想した別の言葉を質問すると、次のような答えが圧倒的に多いのです。
「冷たい印象」「絶対的なもの」「客観的なもの」……
一般論として、人間は温もりが大好きな生き物です。「心が温まる」という表現は好んで使いますが「心が冷える」という表現はポジティブなものではありません。また、世の中に「絶対的なもの」がどれほどあるかと考えると、「絶対に成功します」と断言する人ほど信用できないと感じるのは私だけではないはずです。加えて、私を含め多くの人が「客観的」になれないからこそ、いつまでも人間関係やコミュニケーションで悩むのだと思います。
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