プーチンと国民の離反を狙うウクライナ軍の戦略 モスクワなど大都市への攻撃可能性も
東洋経済オンライン / 2024年9月2日 21時0分
とくに政治的離反効果という意味では、同軍事筋は今後、モスクワ周辺など大都市部に大きな攻撃を加える可能性もあると話す。ゼレンスキー氏自身が最近、ドローン型ミサイル「パリアンツィア」を開発済みで、すでに攻撃にも使用したことを明らかにした。このミサイルは射程が700キロメートルと推定されている。
これ以外にも、初の自国製弾道ミサイルを開発したことも明らかにしている。軍事筋は今後、こうしたミサイルでモスクワなど大都市部を攻撃することもありえると軍事筋は言う。仮にそんな事態になれば、ロシア世論はパニック状態に陥るだろう。
いずれにしても、「パリアンツィア」や弾道ミサイルの開発に成功したことは、ウクライナが独自にロシアへの長距離爆撃能力を保持したことを意味し、今後の戦況への潜在的影響は大きいだろう。
ほかにもロシア本土とクリミア半島を結ぶクリミア大橋への大規模攻撃も今後に向けた可能性の1つとして挙げられるだろう。
ゼレンスキー政権としては、攻撃対象がどこであれ、クルスク越境作戦と同等かそれ以上のインパクトを与える軍事作戦を近く実行することで、国内政治的にプーチン政権を一層の窮地に追い込むことを狙っているだろう。
こうした軍事的優位を背景に、追い込まれたプーチン政権に対し「力の立場」で停戦交渉を提案し、1991年の国境線までのロシア軍の撤退などを求める構えとみられる。
アメリカの了解を得たいゼレンスキー
ゼレンスキー氏は2024年8月末の記者会見で、9月後半に訪米して、ウクライナの戦勝を骨格とした戦争終結案をバイデン大統領に提示する意向を初めて表明した。11月のアメリカ大統領選で争うハリス副大統領とトランプ前大統領にも内容を伝えるという。
ゼレンスキー氏はこの戦争終結案の具体的内容を明らかにしなかったが、先述したように軍事的優位性をバックにしたロシア軍撤退交渉案が念頭にあるとみられる。
この戦争終結案でアメリカとの合意を急ぐ背景には、バイデン政権がウクライナによる自国防衛を助ける一方で、ウクライナに向かっては戦場でプーチン政権を軍事的に敗北させると明言してこなかったことがある。
プーチン政権を崩壊させればロシアが大混乱に陥り、核兵器の管理も危うくなる状況を恐れているとみられている。これが、ゼレンスキー政権が、最大の軍事支援国であるアメリカに感謝すると同時に、これまで不信感を抱いてきた理由である。
ゼレンスキー氏としては、今回終結案を巡り、バイデン政権などとの間で合意ができれば、近い将来ウクライナを戦場での「勝者」にすると確約を得て、それに見合った軍事支援を得ることを意味する。
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