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プーチンと国民の離反を狙うウクライナ軍の戦略 モスクワなど大都市への攻撃可能性も

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 21時0分

ゼレンスキー氏は逆に終結案で合意できなければ「ウクライナの軍事的敗北につながり、それはアメリカの責任になる」として、アメリカ側を強く牽制する構えという。

ATACMSによる攻撃が可能になるか

一方でゼレンスキー政権には、軍事作戦面の別の緊急課題がある。アメリカが供与した地対地ミサイル「ATACMS」(射程300キロメートル)のロシア領内への使用をバイデン政権に認めさせることだ。

現在ロシア軍は、自国上空にいる戦闘機などからウクライナに向け滑空誘導弾を発射し、多くの市民に犠牲者を出している。ウクライナとしてはATACMSなどでロシア領内にある空軍基地を叩き、滑空弾を搭載したロシア機が飛べないようにするしか打つ手はないとみている。

しかしバイデン政権としては、ロシアとのエスカレーションにつながることを警戒して、ATACMSのロシア領内への使用を認めていない。

この問題を巡り、ウクライナはイギリス、ドイツ、フランスの3カ国を巻き込んでバイデン政権と協議を続けている。ウクライナに同情的な3カ国からの後押しを期待している。

ウクライナに武器支援していない日本は現在、この問題の協議から外れている。しかしウクライナ情勢は極めて重要な時期を迎えている。ゼレンスキー政権が戦争の帰趨を懸けて始めた、新たな反転攻勢に対し、日本政府がしっかり何らかの支援を行うべきと考える。

吉田 成之:新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

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